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◎子育てしやすい社会に 最近、「イクメン」という言葉を耳にする機会が多くなりました。これは厚生労働省が、今年6月17日からスタートさせた「イクメンプロジェクト」からきており、育MEN=育児を積極的に行う男性のことです。このプロジェクトは、働く男性が育児をより積極的に行うことや育児休業を取得できるように、社会の機運を高めることを目的として実施されており、育児をすることが自分自身だけでなく家族、会社、社会に対しても良い影響を与えるというメッセージを社会に発信するとのことです。 広島県の湯崎知事が第3子の誕生に合わせて、10月から約1カ月の「育休」を取得され、育児を積極的に行う男性「イクメン」の取り組みをPRし、男性の育児休業取得を呼びかけられているそうです。これまでも、作家の鈴木光司さんが「文壇最強の子育てパパ」として執筆活動をされながらお子さんを育てられ、山田・横浜市副市長が経済産業省課長補佐時代に、この4月には東京都の成沢・文京区長が育休を取られたことは周知のことです。 「育休」には、出産の前後5日間認められる有給の「育児休暇」と、子どもが3歳になるまで任意で取得できる無給の「育児休業」とがありますが、群馬県職員では32・5%の男性が「育児休暇」を取得しているが、「育児休業」は0・8%との報道がありました。やはりこのことからも、民間で取得することはまだまだ困難です。 ここ数年の産科医不足により「里帰り出産」が困難な状況に置かれる中では、男性の育休はとても大切と考えます。たとえば、群馬で産科に通っている人が、実家のある他県(特に首都圏)で出産しようとすると、受け入れてくれる病院・産院が見つけにくいとも聞きます。また、親に来てほしいと言っても親世代も働いていれば、長期に休暇を取り孫の世話をするのが困難な家庭も多く見られます。そこで、何カ月もの長期にわたる休みでなくとも、妻の出産後の一番不安定な時期に夫が1カ月でも育休を取得することができれば、妻としては肉体的にも精神的にも本当に救いとなります。 日本では、1989(平成元)年に合計特殊出生率が急落した「1・57ショック」をきっかけに少子化対策に取り組み始めました。その後1992年の「育児休業法」の施行に始まり、99年の「育児・介護休業法」「改正男女雇用機会均等法」「男女共同参画基本法」、2005年の「次世代育成支援対策推進法」、そして今年6月30日には、「改正育児・介護休業法」が施行されました。法律ももちろん大切ですが、言葉だけでなく子どもを育てる誰にとっても本当に子育てしやすい社会になることを願ってやみません。 (上毛新聞 2010年11月30日掲載) |