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◎意識高め犯罪減少へ 「治安回復」「安全安心まちづくり」。これらの言葉が、半ば日常的に叫ばれるようになって、かれこれ7年が過ぎようとしている。犯罪の発生件数が、最悪時の約半数まで減少している現在、目指している「安全安心な街」の理想とはどのような街だろうか。考えてみる。 「住民の連帯による自主パトロールや子供の見守りが常時行われ、自然にあいさつや声を掛け合う。そのような犯罪が起こりにくい環境の街。さらに、不幸にして犯罪が発生したときは、警察がすかさず犯人を検挙し、事件を解決するなど、住民の期待に十二分に応え、住民が笑顔で明るく生活できるような街」がそうだろう。 本欄を通じ、防犯ボランティアの推進母体である財団法人群馬県防犯協会(四方浩理事長)が、「みんなでつくろう安心の街」を合言葉に推進中の活動や事業を紹介したい。その上で重要性と県民誰もが参加する必要性をアピールすることが「安全安心まちづくり」への道と考えている。 県内犯罪情勢の悪化が顕著になったのは平成15年。泥棒の被害などの刑法犯罪が史上初の4万件を突破する勢いだった。全国でも285万件に達した。県警内には「何とかしなければ…」と犯罪の多発に重苦しい危機感が生まれていた。そのような犯罪の多発傾向が続く中で平成16年が明け、「犯罪防止」「治安回復」をメーンとした条例の必要性を主張する人が多くなった。 「もはや警察の力だけでなく、県・市町村等の自治体はもとより、県民全体に働きかけるべき」との県警内の意思統一が図られ、プロジェクトチームが設置されるなど、条例制定の気運が一気に高まった。 県警の危機感や条例の必要性は、県当局・市町村・議会から県内全域へと拡大した。6月16日、念願の群馬県犯罪防止推進条例が施行され、それにちなんで毎月16日が「県民防犯の日」と定められた。 この条例には県、警察、事業者、県民の責務等が規定されている。県は治安回復対策室(現県民防犯推進室)、市町村は治安回復専門官(現防犯推進専門官)、警察本部は本部長直轄の犯罪抑止対策実施本部を設置するなど新たな推進体制を確立した。 その結果「安全安心まちづくり」は、県民の大きな関心事となり、あらゆる選挙の候補者が公約に「安全安心・治安回復」等を掲げ、住民は、青色防犯パトカーや徒歩による自主防犯パトロールに積極的に参加するなど、「自分の身は自分で守る」という防犯意識が確実に高揚した。 条例を基盤とした県民参加が大きな力となり、平成17年から5年連続で犯罪減少という大きな効果をもたらしたと確信している。 (上毛新聞 2010年11月22日掲載) |