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下仁田自然学校運営委員  小林 忠夫(埼玉県坂戸市)



【略歴】長野県出身。東京教育大卒。新潟県内の中学校、高校で教諭を務めた後、地学団体研究会事務局に勤務。下仁田自然学校には創立準備当時から携わっている。


下仁田自然学校から(6)



◎ジオパークをめざして




 下仁田自然学校から、これまで5回にわたって以下のテーマで発言してきました。

 (1)自然に学ぶ教育の原点(2)鏑川で川原の石に学ぶ(3)産廃問題で地質見直す(4)豊富な自然素材で探検(5)集団で地質の謎に挑む

 発言への共感や激励、紹介した自然学校出版物の注文や行事への問い合わせなど、毎回読者からの反応があり、楽しく発言を続けることができました。

 今回が最終回になりますので、下仁田自然学校のこれからを展望するテーマ「ジオパークをめざして」にまつわる話で、このシリーズのまとめとします。

 ジオパークとは、優れた地質や地形を備えた特定の地域を対象に、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が認定する大地の公園です。世界遺産と同じ性格のものですが、大きなちがいは、認定の条件の中に、その公園を積極的に活用して地域おこしに役立てること、という項目があることです。

 さらに、認定されてからも、4年ごとに点検が入り、認定の取り消しを含めて更新されるというのも大きな特徴です。

 世界ジオパークの歴史は浅く、認定が始まったのは2004年からです。現在は、ヨーロッパや中国に多く存在しますが、日本では09年に「糸魚川ジオパーク」(新潟県糸魚川市)など3カ所が初めて認定されました。

 これまの発言で紹介したように、地質の宝庫といわれる下仁田の大地は、ジオパークの条件をそっくり満たしており、さらに、町のみなさんとともに進めてきた下仁田自然学校10年の歩みは、まさにジオパークの活動そのものであると考えています。

 下仁田町は、この4月に旧青倉小学校に、ジオパークの拠点となる「下仁田町自然史館」を設置しました。そして、ここにジオパーク推進室を設置し、「下仁田ジオパーク」の実現へ向けて準備を開始しました。

 下仁田自然学校も事務局をこの自然史館に移転して、この事業に全面的に協力することにしました。

 現在は、ジオパーク推進室と一緒に、これまで蓄積してきた下仁田自然学校の有形無形の財産を基礎に、11月20日の開館をめざして、自然史館に「大地の博物館」の機能を持たせる準備を進めています。

 事業はようやく緒についたばかりで、すべてはこれからです。そして、この大事業に参画しながら、下仁田自然学校は、あらたにどのような独自の展開ができるのか。たのしい試行錯誤が始まっています。







(上毛新聞 2010年10月1日掲載)