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県立県民健康科学大学長  土井 邦雄(前橋市岩神町)



【略歴】東京都生まれ。早稲田大理工学部卒。1969年からシカゴ大放射線科に勤務し、同大教授を経て同大名誉教授。昨年4月から現職。



大学のサークル活動



◎地域に公開して交流を




 経済環境、少子高齢化、政治改革、大学改革などのいろいろな観点から、現在は大変化の時代と考えられます。私は、40年間シカゴ大学で医学物理に関する研究と教育に携わってきましたが、昨年4月に健康科学大学に着任しました。そこで、今までの経験を生かして、本学を大きく飛躍させ、日本一流の、そして世界にも通用する大学にしたいと考えています。

 学生にとっての大学生活は、講義、実習(実験)とサークル活動です。講義と実習を通じて、専門知識を習得しますが、サークル活動は、学生が人間として成長するために重要な役割を果たすと思います。医療系の大学では、特に重要です。本学のサークル活動には、野球、サッカー、バレーボール、バスケット、フットサル、テニス、卓球、バドミントン、ダンス、海釣りなどの運動系に関するものと、クラシックギター、バンド、吹奏楽、漫画、手話、英語映画、ボランティア、園芸、グルメ、料理、ぐんま探検隊、デジカメ、天体観測などの文化系に関するものがあります。これらの活動は、毎週開催される定期的なものもありますが、頻度の少ない不定期なものもあります。それぞれの活動は、顧問教員の了解のもとに、ほとんど学生たちによって自主的に行われています。

 私は今後、これらのサークル活動を地域の方にも参加していただけるように、地域への公開を計画しています。もし、地域に住む方が上記のような大学のサークルに参加を希望する場合には、健康状態などの条件が適当であれば、学生のサークル活動に参加できることになります。サークル活動を地域に公開することの目的は、地域の方々に大学を良く知っていただき、大学と地域との間の壁を取り除くことをねらっています。

 大学におけるサークル活動を地域に公開することの利点は、いくつかあります。まず、学生は、社会人先輩とのサークル活動によって、両親、親戚(せき)、教師以外の社会人と交流することを学びます。これは貴重な経験で、学生が人間として成長するのに役に立ちます。地域の方の中には、それぞれの分野のエキスパート、あるいは学生たちよりも経験の多い方が参加してくださる可能性があります。その場合には、学生はその方から学ぶことができます。地域の方々にとっては、それぞれの趣味やスポーツを若い学生たちと一緒に楽しむことができます。そして、大学や学生のことを知り、大学が自分たちの近いところにあることを理解できます。サークル活動に参加する地域の方は、日本の将来を担う若者たちを支援していることを、認識していただくことができます。私は、今月、本学で開かれる地域懇談会で、この件を地域の方に提案する予定です。








(上毛新聞 2010年8月10日掲載)