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◎「弱点の発想」で夢実現 それほど能力があるとは思えない私のような人間が、どうして次から次へと夢の実現が果たせているのか、不思議でなりません。子供のころから算数、数学に弱く、物覚えも悪く、不器用で、方向音痴で高所恐怖症でした。勉強と言えば、小学3年の時の通信簿が一つ見つかりましたが、評価されているのは「何事にも一生懸命」ということだけでした。このことを知ると、そうか、今、自己分析するまでもなく、子供のころから、一つも変わっていないんだなとあらためて感心します。 会社員時代も、その後始めた足尾歴史館の運営もしかり。幸いにして想像以上に、いや能力の何十倍も成果を挙げてこられた。そのなかで、皆さんに私の信条として言ってきたことは、「弱点の発想」、つまり「弱い者が勝てる」ということです。プロ野球楽天の野村克也前監督が「強いチームが勝つのではなく、勝ちたいと思っているチームが勝てる」と言っていますが、全く同じ考え方なのです。 なぜ、思っていることが、夢が、希望が一つ一つ実現していくのか。答えは簡単です。自分だけではできないものばかりですから、力のある人、能力のある人に協力していただくことしか解決の道はないと考えているからです。 足尾歴史館を一緒に立ち上げた「足尾楽迎員(がくげいいん)協会」の仲間が「館長に意見を言うと必ず自分でやるはめになる」とよく言っています。足尾歴史館を始めるまでの周辺整備、線路整備から、ガソリン機関車、客車づくりまで、ここに書ききれないほどの多くの方々の支援でできたことです。また、歴史館と関連して足尾駅博物館(交通博物館)を整備する構想も着々と進んでいます。 協力してくれた方はトータルで延べ1000人は超えていると思います。「長井さんにだまされた」と冗談交じりに言いながら一生懸命頑張ってくれている人もいます。 入館者の皆さんからも貴重な品々を寄託していただきました。仲間や支援してくれる方から「よく何でも人に頼めるね」などとよく言われます。ずうずうしい奴だと思われていることでしょう。そうしているのは、繰り返しますが、能力のある人、得意な技術、アイデアのある人にやっていただくより生きる道がないと思っているからです。 「今日もまた感激とうれしいニュースがあった」。そんな毎日が続いています。足尾歴史館の活動は、多方面に広がっており、足尾の活性化、群馬とのつながり、旧日光市との太いパイプづくりに努力しています。 (上毛新聞 2010年7月30日掲載) |