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NPO法人Jコミュニケーション代表理事  高橋 清乃(前橋市駒形町)



【略歴】前橋女高卒。日本語講師。2000年にニュージーランドの小学校などで指導。03年に伊勢崎市に日本語教室開設。県などの委託で市内外で日本語を教える。


外国の習慣に触れて



◎新たな発見に驚き




 国によってさまざまな習慣や考え方があり、想像もしていなかったようなことが普通に行われているのを知って、驚かされることがよくあります。

 先日、インド人の生徒に母国のお札(紙幣)を見せてもらいました。彼は見せながら、インドで使われている15の言語で「10ルピー」と書いてあると教えてくれました。そのお札に何か書かれていたので、「お金に書いていいの?」「なんと書いてあるの?」と、ジェスチャーと筆談で聞いてみました。

 するとなんと、「(インドでは)名前と電話番号と年齢・性別を書いて普通にお金を使うと、(異性から)電話がかかってくることがある」と言うのです。それがどれほど広く行われていることなのかわかりませんが、お札に何かを書いていること以上に、返事が来るということに驚きました。

 パキスタン人の生徒は、日本の大学に通っている友達の学費のために一生懸命仕事をしているとのことでした。「親せきや兄弟じゃなくて、友達に?」と筆談を交えながら聞いてみましたが、やっぱり友達とのこと。「友達は優秀だから、大学で勉強してほしい」と、当たり前のことのように話していました。ローターリークラブの奨学金というのでしたら、すぐ理解できるのですが…。

 そしてペルー人。ペルー人がやっているディスコへ行くと、夜中の1時すぎくらいからにぎやかになってくるようです。そこで、どうしてそんなに遅くなるのか、とペルー人に聞いてみました。すると、何と端的なお答え。「夜中の暗い時間に帰るのは危ない。明け方明るくなってから帰ったほうが安全、安心」とのこと。うなずけるけれど、日本人にはない発想ですよね。

 私たち日本人は、小学校に入ると、平仮名から始まり漢字まで「正しい書き方」を学んでいって、全員が同じ書き方をするようになります。それはほとんどの場合、上から下へ、左から右への線となっています。

 しかし、下から上へと線を書くことを当たり前と思っている国の人もいます。そんな彼らには、何度正しい書き方を教えても、結局自分の書きやすいように書きます。下から上に線をひいたり、右から左へと線をひいたり。書いているのを見ると、つい「あっ」と言ってしまいますが、生徒は、「ん? なに?」というような顔で私を見ますし、書き上がると、ちゃんとその字になっているんです。

 みんなまじめに勉強している人たちなので、それで何も問題はありませんが、小さな違いを毎日発見しています。







(上毛新聞 2010年7月19日掲載)