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◎魅力ある農業の確立を 日本の食料自給率は先進国の中で最も低いことはたびたび報道されています。これは戦後の農業政策によるものだと考えています。欧州の政策が食料の自給率向上を目指して進めてきたことと好対照と言えるでしょう。 問題の一つは減反政策。余剰米対策と米価維持が目的だったのでしょうが、コメを作らせない代わりに補助金を出すことを40年間も続けてきた、その結果が自給率の低下に結び付いたのではないでしょうか。 日本人の食生活は変化しました。米国からの小麦の輸入が増えるにつれてコメの消費量は減少。「ご飯よりパン」という傾向が強くなりました。日本の農産物は、ほとんどの品目で平均関税率が低いのに対し、コメなど一部の特定品目は関税で保護されています。現在コメは国際価格の6倍と言われ、国際競争力は「ない」に等しい状況です。 国内消費の減少、慢性的なコメ余り―。それでも政府は、大型専業農家も小規模農家も一律に減反を課しているので、自由に作付けできません。生産量すら自主的にできないのでは農家の生産意欲が上がらないのは当然です。 日本の農業が国際競争力を持つことこそ重要です。高価格で販売できるような生産技術と、高い経営能力を持つ専業農家(企業的な農業者)の育成や、農作物の価格安定対策、補助金の在り方を見直し、農業を国際水準まで引き上げる事が急務と言えます。その結果として競争力が向上し、自給率も上がるでしょう。 また認定農業者など意欲ある農業者を支援して行く環境整備も必要だと思います。農業従事者の半分超が65歳以上という現状を考えれば、早急な対策が必要です。農地の利用集積事業でも、中山間地と平坦地では条件が違います。規模拡大を望む農家が助成を受けられない問題もあり、きめ細かな対応をすべきです。 稲作農家に対し、麦や大豆、米粉用米、飼料用米などにも交付金を支給していますが、地域によっては作付けも出来ないところもあります。この様に、一律の対策では地域により不公平が生まれてしまうのです。 これらの農業政策が専業農家の減少と、後継者不足を招く結果となり、水田農業の経営は安定しません。しかし一方では、これとは逆に、スーパーや外食産業と契約して、露地野菜を栽培しているグループや法人もあります。大規模経営によって有利販売を実践、魅力ある農業を確立しているのです。 こうした地域では若い農業後継者が多く育ち自立した農業を営んでいます。このほか果樹を中心とした観光農業などは各自、本格的な直売施設を持って農産加工まで行う農家もあり、地産地消を含め大きく発展しています。 (上毛新聞 2010年6月25日掲載) |