視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
.
下仁田自然学校運営委員  小林 忠夫(埼玉県坂戸市) 



【略歴】長野県出身。東京教育大卒。新潟県内の中学校、高校で教諭を務めた後、地学団体研究会事務局に勤務。下仁田自然学校には創立準備当時から携わっている。



下仁田自然学校から(4)



◎豊富な自然素材で探検



 夏が近づきましたので、今回は、下仁田自然学校が、夏休みに自然に学ぶ教育の原点として取り組んできた、恒例の子ども自然探検教室を紹介します。

 この行事は、今年で11回目を迎えます。町内外から保護者を含め30~50名の参加を得て、1泊2日で下仁田町自然史館を合宿(仮眠)所に、実施してきました。

 7月31日、8月1日に開かれる今回は、この4月に同町吉崎から青倉に移転した新自然史館を拠点とします。クリッペ(移動してきた大地塊)の里といわれている地質の名所青倉地域で、自然の中にどっぷりつかりながら、子どもも大人も一緒になって遊び、楽しく学ぼうと、新たな気持ちで計画をつくりました(参加申し込み、問い合わせは下仁田町自然史館、電話0274・70・3070)。

 子どもたちの感性を大切にしながら、自由な発想を引き出したいと、自然学校運営委員会が提起して始めた企画ですが、回を重ねるうちに大学生が案内者に加わり、創立時の子どもが大学生になり、案内者として参加するようになりました。理科教員を志望する学生の教育実習の場としても、利用されるようになってきています。そして、学生は、子どもたちとすぐに仲良しになり、すばらしい案内者になっているのです。

 豊富な自然素材を、どのように探検に取り入れるかは、この教室の大切な決めどころです。探検の大枠はあらかじめ選定しておきますが、その中身はそれぞれの場で、参加者がみんなで相談して決めるのです。

 今回も探検の大枠は、これまでと同じく、川・山・暗闇・夜空・早朝の森を選定しています。

 川では、川原の石、水生昆虫などに加えて、ささ舟競争も楽しみのひとつです。実は、川遊びは初めて、という大学生や保護者が多く、いつの間にか子どもたちと一緒になって楽しむようになりました。

 山では、今年はクリッペに挑みます。子どもたちがこの地質現象をどう受けとめるか楽しみです。

 暗闇は、経験したことのない子どもが多いことから肝試しのつもりで始めたのですが、偶然、蛍の幼虫の発光を見つけ、欠かせない探検になりました。青倉でもこの発光に遭遇できるか。そして、夜空の星、早朝の森でのカブトムシたちとの出会いも楽しみです。

 子ども・大学生・保護者・運営委員の4者の組み合わせが定着しつつある新自然探検の中で、そして、これまでとは違う自然素材を相手に、どんな発見や展開があるのか。また、楽しい試行錯誤が始まります。








(上毛新聞 2010年6月6日掲載)