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◎サポート受ける勇気を 継続して働いていくには、自分のことを周囲に分かってもらうことが大事だ。中でも、困っている時に、周囲に理解してもらうことは特に重要である。そうはいっても、困っていることを表現するのは、特に仕事の上では躊躇(ちゅうちょ)してしまうことが多い。努力でなんとかなるのではと思うと、余計に言いにくかったりする。一方、周囲からすると、どんな状況なのかわからないがために、手が出しにくいものである。本来は困っていることを伝えることにより、周囲は安心してサポートをすることができ、自分は働きやすくなる。言葉でだけ伝えようと考えると難しいとすれば、態度や様子も含めて困っていることが伝われば、周囲のサポートを受けることができる。 「困るのがうまい」若者がいる。サポートステーションでのジョブトレーニングの中でも、不得意な仕事をするときに困っているのが手に取るようにわかったり、情けなさそうな顔をして慌てていたりする若者の場合には、ついつい「おやおや、大丈夫かな」と思って声を掛けることができる。彼らはある意味、「サポート受け上手」である。一方、共同作業をしている時など、手助け不要、特に困っていることはない様子で作業を続けているのに、実際は同じくらい混乱して仕事が滞ってしまっている若者もいる。困っていることを表現してくれたらいいのにと思う。 表現できない原因として、「困った様子が出せずにいたら、わからないことがどんどん増えていって、しまいには言い出せなくなってしまった」とか、「頼りにならないと思われたくないので大丈夫な顔をしていた」などの声がある。これは「人に頼らないで最後までやる」「不得意なことでも根性を出して頑張る」ということは尊ばれても、「困り感」や「できなさ」を表現することが大事だと聞く機会は少なかったからではないか。 例えば、終わらなくて困っているのに言い出さないケース。「協力してほしい」とまで言えなくても、「終わらない」とも言えない。それを伝えずにいつまでも一人で仕事を抱えていると、ふたを開けてみたら終わらなかった、ということになる。そうなると、周囲から不信感を持たれたり、攻撃されたりする。困っていることを表現できないことで、周囲の理解が得られずに、苦しみ、追い込まれてしまうことがある。 困っていることや自分の不得手が相手にわかりやすいということは、自分の身を助ける。伝わることで、周囲の人と上手に協力し合うことができる。継続して就労していくために役立つ能力だと感じている。 (上毛新聞 2010年5月26日掲載) |