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赤城自然塾事務局長  小林 善紀(桐生市黒保根町) 



【略歴】桐生高校、同志社大商学部卒。「古久松木材」(高崎市)に30年間勤務。1998年から4年間、旧黒保根村収入役を務めた。現在は赤城自然塾事務局長。



水源の森づくりの実践



◎上下流市民が協働して



 赤城地域で、「水」を通して、上下流域市民による水源の森づくり活動を行っています。そのなかで、環境、エコ、ロハスをキーワードにした実践活動が、「人と人」のネットワークの広がりへと結びつき、そこから「Something New」が生まれています。

 一つ目の実践例として「桐生・新宿 森と水による交流」があります。赤城クリーン・グリーン・エコネットワーク、桐生市、桐生の清流と森林を守る会、NPO法人新宿環境活動ネット、エコツアー・リボーンなどの各団体が協働し、2003年から毎年、桐生市梅田町で、それぞれの持ち味を生かした森づくりを続けています。8回目となる今年は30日に行われます。

 これまでに、桐生市長、新宿区環境部長参加のもとで、「交流の森」も選定されました。新宿で開かれる「町の先生見本市」には桐生市も参加しており、6回目の今年は、ぐんま昆虫の森の矢島稔園長が基調講演を行いました。

 二つ目の実践例は、東京都渋谷区を拠点に公開講座などを開催しているNPO法人シブヤ大学の受講生が、3年前から赤城の松枯れ林地を広葉樹の森にする活動に参加していることです。参加者の平均年齢は26歳。70%が意識の高い女性で、活動の意味を理解し、活発な意見もいただいており、参加者の1人で米国のウォールストリートジャーナルの記者から、赤城地域の人間力を高く評価する感想の手紙が寄せられました。今年からは日本財団の助成事業として「松枯れ林地再生プロジェクト 水源の森づくりと200年の森づくりデザイン」がスタートしました。

 三つ目の実践例は、「森が水をつくる」をテーマに、森づくりの大切さを下流域市民と共有する目的でスタートした「わたらせ森と水の音楽祭」です。

 NPO法人グループ28が始めて、08年まで10回開催。09年からわたらせ渓谷鉄道支援コンサートとし、今年3月にはグループ28、わたらせ渓谷鉄道市民協議会、ながめ黒子の会共催による「わ」鉄支援コンサートが、ながめ余興場を満席にして開かれました。

 「人と人」のつながりから人の価値に気付かされ、互いの尊重から生まれる結果を共有することで、さらなる発展が期待されます。出演者の一人、ルンヒャン作詞・作曲・演奏の「わたらせ」はCDにもなり、多くの方に感動を与えています。グループ28の理事長、佐々木耕成さんは画家で、40年間沈黙を守っていましたが、81歳になって再デビューし、ニューヨークでの個展の計画もでています。

 改めてネットワークとコーディネーションから生まれるものの大きさに驚かされ、この面での人材育成の必要性を強く感じています。






(上毛新聞 2010年5月23日掲載)