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◎日本語教育充実させて これまで日本語教室に来る生徒のほとんどは大人でした。中学を卒業したばかりの子供はいましたが、小学生はいませんでした。 去年の7月、日系ペルー人の子供(小学1年生)が来ました。ところが、1カ月くらいで来なくなってしまいました。平仮名、片仮名も読めなかったので、どうしているかな、と心配していました。すると先月、その子供が、お母さん、おばあちゃんと一緒に来ました。何と、以前より言葉がわからなくなっていたのです。「あいうえお」を唱えることはできますが、一つずつ指さして読ませようとすると、「わからない」と言うばかり。 そこで、いつも一緒に生活し、面倒を見ているおばあちゃんに教室に来てもらうことにしました。おばあちゃんが大好きなこの子は、おばあちゃんと会話できるスペイン語が分かればよいと思っているようなので、一緒に日本語を勉強することで、日本語への興味がわいて、勉強への意欲を少しでも持てるようになってくれればよいと思います。 日本の人口統計を見ると、子供の数は減るばかりです。これからの日本を考えると、現在いる外国籍の子供たちが、将来の日本を背負って立つようなことになるかもしれません。実際、日本の企業でも外国人が活躍しているところがあり、それはその外国人が母国でしっかりした教育を受けているからこそできることだと思います。明治政府の教育政策が良かったことが今の日本の礎になったことを考えると、教育は大切であり、また時間のかかることです。 これからの日本を背負って立つかもしれない外国籍の子供たちが、小学校で日本語になじめず、日本の教育についていけないとすれば、私たち日本語教師にも何かできることがあるのではないでしょうか。 学校では「国語」という授業ですが、これは日本語を母語としていることが前提での授業です。しかし日本語を母語としていない子供たちにとって、国語の授業は大変なようです。そんな学校の中で「迷子」になっている子供たちのために、何かできないものかと考えます。 地元の伊勢崎地区の小学校では、どのような状態なのでしょうか。もし可能であれば、小学校へ行き、ボランティアでの日本語教育に取り組みたいと思っています。伊勢崎には60カ国以上の人がいます。そんな多国籍の子どものために、日本語教師として何ができるか―。これからの私の課題です。 (上毛新聞 2010年5月21日掲載) |