視点 オピニオン21 |
■raijinトップ ■上毛新聞ニュース |
. | |
|
|
◎重要な役割担う女性 「男女共同参画社会基本法」が2000年に施行されたのに伴い、女性が地域社会のなかで平等に仕事ができ、社会参加できるような環境づくりが推進されています。職場や家庭、地域でも、性別にとらわれないでさまざまなことに自由に参画できるようになり、女性の活躍が目立っています。 農業の分野でも、女性が農業振興などの場に積極的に参加し、地域農業の担い手として、地域の活性化、発展に重要な役割を果たしています。 家族経営農家が大半を占める日本では女性農業従事者は約半数にもなります。農業において、いかに女性の参画が大切であるかがわかります。女性が地域の担い手としての役割を果たしており、農産物加工から農産物直売所を起業している人までいます。 自家農場で収穫した野菜や果実などを、こだわりの漬物、梅干し、みそ、納豆、豆腐などに加工して、観光農園での販売だけでなく、地域の農産物直売所、スーパーにまで販売しています。地域で生産される農産物を使ったこだわりお弁当なども作られて、販売されています。 全国の農産物直売所は、大手コンビニの店舗数を上回っていて、売り上げこそ及びませんが、全国の流通農産物の5%にもなるといわれるまでに成長しました。その直売所の中に、女性たちの出資でつくられた施設も多くあります。直売所のお母さんたちは、生き生きしてやりがいを感じているように見えます。このような取り組みは、小規模の農家でも参加しやすく、所得の増加にもつながります。 女性は、簿記などの経理部門より出荷や販売を担当したいと、農業経営全体を希望するという統計もあります。経営に参画することにより、やりがいを感じ、能力を発揮できる人もいるのです。 遊休農地を借り受けて規模拡大するなど農地の有効活用、地域農業の活性化、ひいては農業後継者対策などにも女性の活躍が見られます。「農業後継者がいないのは収入が少ないからで、高収入を得られる農業経営を目指す」と話す元気な人もいます。 農産物の加工品が地域特産品になることも多く、地域活性化につながる取り組みもなされています。そんな、地域の生産物を使った新しい農産加工食品などの試作研究も、女性たちのグループ活動で行われています。作るだけの農業でなく、加工から販売まですることにより、安定した収入が得られれば、担い手不足の解消にもつながります。地域の食を見つめ直し、地産地消と地域農業の発展を期待しています。 (上毛新聞 2010年4月22日掲載) |