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◎住民と“よそ者”一体で 最近の傾向として、人口が減少していく中、町おこしに見事成功し活性化しつつあるという地域の声を聞くようになってきました。 わが足尾町は銅山城下町として長年栄えてきました。しかし、2000年3月、退職して42年ぶりに古里足尾町に帰ってきた私は、あまりにも急激な人口減少と、足尾銅山が日本の近代産業発祥の地といわれているにもかかわらず歴史館も博物館も資料館も存在していないことに正直驚きました。世界に冠たる足尾銅山の地がなんたることかという思いから、私たちは5年前、足尾歴史館を立ち上げました。 今年、開館6年目を迎えるのですが、過去の活動を振り返り、今後の運営を展望すると、人と人とのつながり、人との交わりが、成功の礎であるとつくづく感じます。歴史館の立ち上げ、ガソリン機関車の復元、足尾銅山の世界遺産登録をめざす運動をはじめ、足尾駅博物館化構想や、松本渓谷へのバスの乗り入れ、足尾本山駅までわたらせ渓谷鉄道の延長運転、元足尾高校の校舎の有効利用を目指す活動など、町おこしの夢は広がりつつあります。18歳から足尾を離れ、対岸から足尾を見ていたよそ者同然の立場にあっただけに、足尾の活性化への願望には、強いエネルギーが際限なくわいてくるのです。それだけの歴史的な魅力が足尾にあるからでしょう。 足尾銅山は1610(慶長15)年に発見されて以来400年を迎えます。今年は市民による記念事業も計画され、さらに来年度も各種団体による記念事業が計画されています。これから5年間が最も重要な期間であり、多くの住民、出身者と“よそ者”の参加を期待しています。 足尾は、北陸を中心に全国の人たちが集まってできた町ですから、いわばアメリカ合衆国のようなものです。これからは、足尾に来て住みたいと願っている人たちを受け入れるために、県営、市営住宅、個人の空き家などの確保が、足尾発展のための課題であると考えています。 「夢は実現するためにある」が私の信条です。これまでの会社生活でも、今、足尾での活動でも、不可能だと思われていたことを一歩一歩進めることで実現させてきました。そのなかで、人の力、人の心のありがたみを痛感している次第です。これからの時代は、人のために、社会に役に立ちたいと、ボランティア精神に燃え、協力していこうとする人たちがますます多くなってくるように感じます。 そうした力を借りて、足尾の活動が、「環境立国」の出発点になればと思います。全国から多くの子供たちが学習のためにに来山されることを切に願っています。 (上毛新聞 2010年4月10日掲載) |