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◎強化がビジネス好転に 野球に限らず、すべてのスポーツビジネスにおける根幹は、チケットセールスである。それは、なぜか。球場にお客さまが足を運んでくれることの恩恵は、グッズや飲食物の売り上げ増加だけにとどまらない。大勢の目に留まるのならば、場内の看板広告など簡単に売れてしまう。場内に人があふれ、魅力あるコンテンツならば、テレビ局も黙っていない。 そして、球場に来たファン自身も、大勢の観衆の中で応援することで、非日常的な空間を共有する喜びを感じることにより、再び球場へ足を運びたいという気持ちを持ってもらえる。チケットセールスがうまくいけば、スポーツ周辺にあるすべてのビジネスが連鎖的にうまくいく。期待通りの好循環が起こるのだ。 魅力あるコンテンツならば、そのチケットも売りやすくなる。地域貢献を唱えたペガサス球団は、今までにない新しい試みであったが、爆発的な盛り上がりに至らなかった一因に、球団組織の問題があると考える。 アメリカで球団経営に携わるのは皆、スポーツビジネスのプロである。チケットセールス、スポーツマーケティング、ゲームオペレーションなど、若い時から、スポーツビジネスに携わり、身をもってスポーツビジネスを学んできた人たちで、スポーツ発展への情熱も、球団経営にかかわる知識も豊富に持っている。当然、チケットセールスの重要性も心得ている。 それに比べて、ペガサス球団はまだまだ発展途上である。チケットセールスの部署に、もっと人員や予算をさくべきであるという発想が生まれても、実施に移す可能性が極めて小さい。 球団経営を改善していく上で、まずはチケットセールスの部署を強化することから始めなくてはいけない。もちろん、人数を増やしたからといって、すぐに観客動員数が伸びるとは限らない。しかし、セールススタッフが営業活動の中で、直接お客さまから聞かされる話の中には、お客さまにチケットをご購入してもらうためのさまざまなアイデア(チケットのパッケージプランや魅力的なプロモーションの種)がたくさん詰まっているのだ。また、営業中に寄せられる苦情の中には、顧客満足度を上げるためのヒントが隠されている。そういったことを無駄なく吸収し、改善していくことで、徐々にチケットセールスは伸び、周辺のいろいろなビジネスも次第に好転していくはずだ。 収支に不安を抱える経営状態が続く中で、あえてチケットセールス部門にかけるお金を増やすことは、大きな賭けのようにも聞こえるかもしれない。しかし、それは球団経営にかかわるすべてのビジネスを好転させるために、最も確実かつ基本的な方法といえる。 (上毛新聞 2010年3月12日掲載) |