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◎生きがい持てる環境を 農業従事者の高齢化、後継者不足は深刻である。現在地域の担い手として、農業を支えている人たちは60代、70代によって支えられている地区が多いのではないか。農業者数の減少と、著しい高齢化の進行の中で、早期の対策が望まれる。 農家戸数が減少し、農産物の販売農家が減少するなか、家庭用だけに栽培をする自給農家が増えている。農家の後継者が不足するのは、農業収入が他産業の収入に比べて少なくて所得格差が大きく、若い人たちにとって魅力がないからである。もう一つの理由は、少子高齢化の影響である。これが過疎化地域では特に顕著ではないかと思われる。 自立農家を増やしていくには、新規就農者が就農しやすい環境をつくる必要がある。農家が後継者を受け入れるだけのしっかりした経営基盤をもち、さらに20代、30代の若い農業後継者が意欲と目標をもって就農できるよう、行政、関係機関によるサポートが必要になる。 農業就業人口が急速に減少し、高齢化が進む要因の一つとして、平野部が少なく、1戸当たりの耕作面積が狭いという日本の地形条件が挙げられる。アメリカでは、農家1戸当たりの耕作面積が100ヘクタール以上もあるのに対して、日本はわずか1ヘクタールたらずなのである。 耕地面積の差は、生産費に大きな差が出る。たとえばコメの場合は日本は7、8倍もかかってしまう。日本では経営規模にかかわらず、農機具を持っており、これらのことが生産コストを上げてしまっている。経営規模の小さい農家では農機具の供用をするべきだが、兼業農家が多く、休日に農作業をするために作業が集中して難しい。もうかる農業とはいかないのが現状である。 こんななか、兼業農家が担い手になり、耕作放棄地の拡大を防ぎ、地域農業を支えている。また、定年を迎えて、新たに農業に就く人も地域農業の大切な担い手なのである。 Uターン者、県外からの新規就農者、雇用就農など、意欲的に農業をやりたいという人の受け入れ態勢の整備が急務だ。農業指導を含め、若い新規就農者への国や県からの助成も必要であり、農業に生きがいを持って取り組める地域農業の人材育成を進める環境をつくることが求められている。 県内でも元気のある農業地区もあり、「うちの地区では全農家に後継者がいるし、嫁さんも全員にいるよ」という例もある。専業農家であり、経営規模も大きく集落全体が元気のある収益性の高い農業に取り組んでいる。このような地域では農業後継者不足はない。地域の特性を生かし、収益性の高い農業を営むこうした地域を育成することが地域農業の活性化につながる。 (上毛新聞 2010年2月25日掲載) |