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下仁田自然学校運営委員  小林 忠夫(埼玉県坂戸市)  



【略歴】長野県出身。東京教育大卒。新潟県内の中学校、高校で教諭を務めた後、地学団体研究会事務局に勤務。下仁田自然学校には創立準備当時から携わっている。


下仁田自然学校から(2)



◎鏑川で川原の石に学ぶ




 下仁田自然学校では、地質の宝庫といわれる下仁田の自然を相手に、学習・研究・活用の3つの柱をたて、これらを統一的にとらえながら、それぞれの活動に取りくんできました。

 今回は、この3本柱のひとつ「学習」をとりあげ、「自然に学ぶ教育の原点」と位置づけて、子どもたちと取りくんできた自然体験教室の経験を紹介します。

 下仁田には自然体験に適した素材がたくさんありますが、なかでも鏑川の川かわら原の石は優れた素材です。

 川原にいくと、ほとんどの子どもが、まず川原の石拾いを始めることから、その素材としてのすばらしさがわかります。石が、子どもたちをひきつけるのです。

 川原の石はどこの川にもありますが、鏑川の石は特別です。石の種類が多く、色とりどりで美しいのです。

 美しさにひかれて川原の石を拾い集める、という体験の中で、子どもたちはさまざまなことを学び、発見します。色だけではなく、表面の模様、形、硬さなどにも注目します。さらに、たたいたりこすりあわせたりして、石の違いを比較し、それぞれの石の特徴をしっかりとらえていきます。石にも名前があることを知り、その石の古里や生いたちを考えるようにもなります。

 鏑川は、下仁田町の中心を流れており、町を取り巻く周囲の山々から流れ出した石が川原を構成しています。したがって、川原の石の美しさは、下仁田町の地質の反映であり、その種類の多さは、地質の複雑さをあらわしているのです。

 体験教室は、川をさかのぼり、石の古里をたずねる探検教室にまで発展しました。そして、この経験をもとに「かぶら川の石図鑑―川原の石の生いたちをたずねて―」という小冊子をつくりました。編集委員会をつくり、みんなで知恵を出し合って完成したものです。

 A5判、64ページ、川原で拾える17種類の石がカラー写真で紹介されています。みんなで集めた中から選びだした石です。川原では、絵あわせでその石がさがしだせるようにしました。それぞれの石の古里や、その生いたちなども紹介されています。さらに、鏑川のどの位置の川原でどんな石が拾えるか、観察に適した場所、観察の仕方や勘どころなども紹介しています。小冊子は下仁田自然学校(FAX0274・67・5315)で頒布します(送料込み500円)。

 川原の石の古里をたずねた子どもたちの中から下仁田の地質を研究する専門家が誕生することを楽しみに、これからも体験教室を続けたいと思います。






(上毛新聞 2010年2月22日掲載)