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◎群馬県型に大きな期待 鉄道に駅があるように、道路を走る車のための駅があったら便利だろうという発想で生まれたのが「道の駅」。平成5年に制度がスタートして以来、全国各地に続々と増え、現在900カ所を超える道の駅が登録されている。 東南アジアの国々へも評判が伝わり、ベトナムのハノイ近郊には「MICHINO―EKI」が3店オープンしたということで、国際的にもなってきた。 群馬県では川場村の「田園プラザ川場」が有名で、関東地区の「好きな道の駅」のアンケートで5年続けて1位に選ばれるなど人気は高いが、数そのものは19カ所と少なく、県内外の観光客をはじめ、通過交通車や地域の生活者へのサービス不足が問われてきた。 これを受けて県では県土整備部が中心になって「道の駅の整備のあり方について」委員会を設け検討を進めていたが、このほど「群馬型」ともいえる新しい考え方による道の駅の整備について報告がまとめられた。委員会の議論に参加した立場から分析してみたい。 特徴の第一は多額の公共投資をして広大な土地に豪華な建物を建てる従来方式を改め、市町村合併などに伴って不要になったり、使い切れなくなった公的施設、例えば旧町村の役場とか、廃校になった小中学校の校舎や校庭などを活用して、リサイクル型の道の駅を増やすという提案。大変ユニークである。 特徴の第二は、これまではどちらかというと観光客中心だったサービス対象を拡大し、地元に生活する人のための生活支援型道の駅を増やす方向を示したこと。そのためには、最近各地で人気の高い農産物直売所的な性格を高める一方、食料品以外の生活必需品の品ぞろえをすることや、福祉、保育、防災などの幅広いサポート機能を充実させることも重要であろう。 三つ目としては、既設、新設を含め、県内の道の駅をネットワークで結び、観光情報や交通情報の他、生活や防災に関する情報についてもやりとりし、一体的運用を目指そうとしていることにも期待したい。 ネットワーク化についてはすでに全国規模でも地域単位でも試みられてきたが、中心になる組織が明確でなかったことなどから不成功に終わっており、この点で県当局の調整能力が問われることにはなろう。 ところで1点目のリサイクル型道の駅の先行モデルとして、高崎市の旧倉渕村役場を「小栗上野介記念施設」とからめて整備する構想が具体化しているとのことで、実現すれば全国的にも注目される道の駅になるに違いない。それだけに再利用できる施設は、多少使いにくくても最大限活用してリサイクル度を高め、“型は古くも中身は最先端”の道の駅に仕立て直ししてもらいたい。 (上毛新聞 2010年2月5日掲載) |