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◎市町村を対象に発表を 2004年は、北陸の集中豪雨や10個の台風の上陸による風水害で死者230人(2008年版防災白書による)という大きな被害を受け、人的被害の軽減が緊急の課題となりました。この中には、(1)市町村が行う避難勧告等の防災活動と防災気象情報との対応が不明確で警報が必ずしも防災対応につながっていないこと(2)災害をもたらす激しい現象に比べて警報の発表区域が大きすぎ、住民が区域名をわからない場合もあること―が挙げられました。気象庁では、予測精度の向上、観測網の強化に加え、警報・注意報の発表区域を細かくし、市町村を対象に発表するための改善計画を進めています。 現在、群馬県の警報・注意報の発表区域は、一次細分として北部と南部、二次細分として北部は利根・沼田地域と吾妻地域、南部は前橋・桐生地域、伊勢崎・太田地域、高崎・藤岡地域です。これからは、警戒や注意が必要な地域を絞り込み、今年5月をめどに、市町村ごとに警報・注意報を発表します。県内の警報・注意報の発表区域は、これまでの5区域から35区域となります。なお、3月28日に予定されている中之条町と六合村の合併後には、新しい中之条町が発表区域です。また、大雨警報や洪水警報の基準は、最近15年以上の土砂災害、洪水、はん濫の事例を対象に、土壌雨量指数、流域雨量指数という新たな指標や降水量との関係を調査し、市町村ごとに設定しています。 大雨や台風が近づく場合の警報では、市町村ごとの名称を示すとともに、大雨警報は、警戒を要する気象災害が土砂災害か、浸水害かを示します。洪水警報は、河川の増水やはん濫への警戒を要するときに発表します。防災関係機関の担当者や住民の皆さまには、警報・注意報の発表状況や予想される気象災害がわかりやすくなり、防災対応や避難の迅速な判断に効果があると考えます。日ごろから、気象情報の入手先を確認することと、気象庁ホームページやテレビ、ラジオなどで最新の気象情報と警報・注意報の内容の確認をお願いします。 予報官の長年の夢は、市町村を対象に警報・注意報を発表することでしたが、ついに、第一歩を踏み出します。今後、市町村を対象とする警報・注意報が有効に機能するためには、作成元の気象台と地域の特性に詳しい自治体防災担当者との情報交換や連携がますます大切になります。次の段階では、警報・注意報の内容をいかに早く理解していただき、いかに住民の皆さまへ伝えるかについて、気象台と自治体防災担当者の両者で、意思疎通をはかること、課題の整理や教訓など、共に学ぶことが出てくると考えます。警報・注意報の改善にご期待下さい。 (上毛新聞 2010年1月23日掲載) |