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群馬ダイヤモンドペガサス・ゼネラルマネジャー  根岸 誠(高崎市上中居町)  



【略歴】新島学園高、青山学院大経営学部卒。元高崎青年会議所理事長。現在、高崎佐野中PTA会長、高崎市PTA連合会副会長。フジコー代表取締役。




観客を増やすために



無駄のない試合提供を




 「野球事業を通じての地域貢献の徹底」。これは、昨シーズンのBCリーグが目指したものである。各球団による地域活動についての詳細を公にすることで、理解を深めることに努めた。

 残念ながら、観客動員数としての数字には表れていないが、地域の皆さんの心をつかむことで、固定ファンの輪が広がりつつあることを実感できた。

 それでも、独立リーグの地位を確保するための一番大きな要素が、集客であることに変わりはない。2年目の群馬ダイヤモンドペガサスは、観客動員数を増やすことができず、逆にマイナスとしてしまった最大の要因に、試合時間の長さがあると考えている。群馬が唯一、3時間を切ってはいるが、リーグ平均は3時間5分と昨年よりも、7分程長くなっている。

 NPB(日本プロ野球機構)が3時間8分ということを考えれば、どんなに気が長い方でも、限界にあるはずだ。なぜ、限界かと言うと、NPBのものではあるが、格好のデータがある。平均試合時間が、2時間30分程度だった1967年のある試合の所要時間を、ストップウオッチで実測して分析したものだ。

 それによれば、2時間39分の試合時間のうち、投球と投球の合間が一番長くて1時間25分31秒(そのうち、打者が打席を外していた時間が25分11秒)。攻守交代に要した時間が34分36秒。ボールデッドになっていた状態が5分19秒。そして、打者が打ち、野手がそのボールを処理するのに要した時間が、全体の5分の1の33分。つまり、5分の4の約2時間は、何も行われない時間だった。

 では、当時より平均で30分近く試合時間が延びたのは、どの部分が延びたのだろう。野球は今も昔も9イニングで、攻撃のルールも変わっていないのだから、打球の処理に要する時間が増えたとは考えにくい。何も行われない時間が30分近く増えたのである。その原因はいくらでも思いつくが、イニングごとの投手交代、バッテリー間の複雑なサイン交換、ピッチャーの頻繁な投球板外しや打者の打席外し、それに無意味な牽制(けんせい)球の多さなどだろうか。つまり、スタンドの皆さんに、試合時間のほとんどを使って、そういうことをお見せしているだけなのである。やるほうは、それも野球のうちだと言うだろうが、ご覧いただいている皆さんはたまったものではないはずだ。

 ファンのためというからには、いい商品、つまり無駄のないキビキビした試合を提供することだと考える。幸い、リーグも同様の考えのようだ。3年目のシーズンに向け、審判・選手の自主トレも始まった。2時間30分のゲームメイクに向けて、体力・技術・意識の改革に挑戦する姿勢に、ぜひともご注目いただきたい。






(上毛新聞 2010年1月18日掲載)