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◎薬普及で役割は重大に 昨年は、芸能人や若い世代の人たちの間に、麻薬や覚せい剤がまん延していることが、大きな話題となりました。「薬から足を洗うか、人間をやめるか」といわれるくらい、その恐ろしさはあまりにも大きいのです。薬といっても、医薬と麻薬・覚せい剤とでは全く違います。 また、医薬であっても、適切な用法でなければ、治療どころか、たいへんな結果を招きます。 以前、医学の泰斗、群馬大学名誉教授、田所作太郎先生の講演をお聴きしたことがあります。その中で、「クスリは反対に読むとリスクに変わります…」と言われ、ユーモラスに、分かりやすく、薬の効用や副作用、薬物乱用について話されました。確かに、薬は用い方で良薬になる一方、副作用というリスクを伴うものもあるわけであります。 一方、健康志向の高まりから、いまサプリメント(栄養補助食品)が広く普及しています。人々の暮らしの中に、かなりのウエートで薬やサプリメントが入り込んでおります。 昨年6月から「薬事法」が改正されました。ドラッグストアなどで販売する薬剤は、効能や副作用によって、第一類から二類・三類まで分類され、第一類は「薬剤師」でなければ販売できません。第二類・三類については、新たにできた「登録販売者」が販売できることになりました。 「登録販売者」は、都道府県単位で実施される試験に合格した人に与えられる資格です。 今述べましたように、暮らしの中におびただしい薬やサプリメントが普及していますから、その用法などの相談に乗ってあげたり、質問に応じたりと「登録販売者」の役割は、非常に重大です。 私どもの学校の医薬学科は、この動きを受けてスタートした、登録販売者を目指す新しいコースです。 これからの医薬販売を担う有能な人材を養成中で、高校生をはじめ、多くの若い方々から関心を寄せられています。 今、長寿社会の到来で、国民の健康への関心がとても高まっています。本県の平均寿命を見ますと、2007年の統計で、男性79・2歳(全国79・19歳)女性85・78歳(全国85・99歳)と、ほぼ全国レベルに位置しています。 年齢を問わず、健康を保持、向上していくために、バランスの良い食事、適度の運動、病気の早期発見・治療が大切なことはもちろんです。それとともに、日常用いる薬やサプリメントについても、正しい知識を持ち、必要に応じて、薬剤師や登録販売者の方々から、適切なアドバイスを受けることが必要でしょう。 (上毛新聞 2010年1月7日掲載) |