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◎安定供給の担い手に 5年間の「経営改善計画書」を作成・申請し、市町村から認定を受けた農業者を認定農業者という。性別、年齢、専業、兼業、経営規模や所得の大小、法人経営、畜産、野菜、水稲や施設園芸など作型も問わないので、意欲のある人なら誰でも認定を受けることができる。本県の認定農業者は、4914人を数える。 今年3月、県認定農業者連絡協議会が30の市町村協議会の参加により設立された。認定農業者が経営基盤の強化に取り組み、本県農業の活性化、地域農業の担い手として県域で組織することにより、県、関係機関との連携や意見交換、農業政策への提言等などを行うことを目的にしている。 農業をめぐっては、食料自給率を上げること、自然環境の保全などの課題とともに、所得低迷による農業従事者の減少、高齢化など多くの問題を抱えている。中山間地域では、耕作放棄地が目につくようになった。担い手不足だけではなく、鳥獣害等も耕作放棄に影響していると考えられる。 せっかく育てた農作物がイノシシ、ハクビシン、クマ、シカなど野生動物により食べられる被害は、県下全域に及ぶ。このようなことも農家の生産意欲をなくす原因の一つである。 本県の新規就農者は減少傾向にある。これは全国的にもいえる。担い手の不足が大きな問題であり、今後の農業の課題でもある。他産業と同じくらいの所得にならなければ、新規就農者を増やすことは難しい。 米を例にとれば、かつて1俵1万8000円だった生産者米価が今は12000円にまで下がり、その上、減反政策により、米を作らないように生産調整をさせられている。転作のできる水田ではまだよいが、中山間地の条件の悪い水田では、国の奨励する作物を作ることができない。経営面積の少ない農家にとっては、厳しい政策である。 国際化の進む中、水田農業政策の見直しが急がれるのではないか。日本の食料自給率が40%前後と低迷しているのに、食料の安定供給という観点から見れば不可思議な政策に見える。食生活の変化により、米の消費が半減したことが最大の要因と考えられる。 認定農業者制度は、国が定めた農業経営基盤強化促進法に基づくもので、認定を受けるには減反を達成していなければならない。各種の補助事業を受けるためにも必要で、ほかにもさまざまな所に減反がついて回る。飴(あめ)と鞭(むち)を使いながら減反政策をしているが、これが続けば、農業の衰退につながってしまう。 これからの安定した農業発展のためにも、地域農業の担い手としての認定農業者への期待は大きい。 (上毛新聞 2009年12月30日掲載) |