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◎暗闇に救いの光ともす 私の働く新島学園短期大学では、毎年11月末のクリスマスツリー点灯式からクリスマスに向けた歩みが始まります。そして12月になりクリスマスがいよいよ近づくとキャンドルライト・サービスといって、ろうそくの光の中でクリスマスをお祝いします。 点灯式も、キャンドルライト・サービスも、「暗闇に光をともす」という共通点があります。実はこれはクリスマス、救い主イエス・キリストの誕生の意味をあらわしています。 意外に思われる方も多いでしょうが、聖書を開いてみると救い主といわれるキリストは馬小屋で生まれ、家畜のえさを入れる飼い葉桶(おけ)に寝かされたことが記されています。つまりキリストは暗くさびしい場所でお生まれになりました。このことは神さまの優しいまなざしが、この世界の暗いところ、私たちの心の暗いところにこそ注がれており、キリストの誕生はそうしたところに救いの光をあたえる出来事であることを示しています。 こうしたクリスマスの精神をよくあらわしているクリスマスソングに「赤鼻のトナカイ」(作詞、作曲・ジョニー・マークス、日本語訳・新田宣夫)があります。 赤鼻のトナカイには実は名前もちゃんとあってルドルフというのですが、このトナカイは、ピカピカのみっともない鼻のため仲間からばかにされ、いじめられていました。サンタクロースのそりを引くトナカイたちが、トナカイ界のエリートだとすると、赤鼻のルドルフは完全な落ちこぼれです。きっとルドルフにとっては、仲間たちが活気づき騒ぎ出すクリスマスは、寂しさや孤独をより強く感じる季節だったでしょう。 しかし、ある年のクリスマスにサンタさんはルドルフのところにやってきて、「その赤鼻が暗い夜道を照らすのにどうしても必要だ、そりの先頭に立ってほしい」と頼むのです。サンタさんのまなざしは、苦悩するルドルフに注がれていました。そしてそのひと言は、ルドルフがいてもいなくてもいいような存在ではなく、かけがえのない大切な存在であることを伝えました。この日を境に、ルドルフの心を暗くしていた赤鼻は、仲間を導き照らす光に変えられました。 サン=テグジュペリの「星の王子さま」に「大切なものは目には見えない」とあります。クリスマスの出来事が示すような希望、平和、喜び、愛といったものは確かに目には見えませんが、私たちの世界や心を明るく照らすために本当に大切なものです。今年のクリスマス、みなさんも暗い世界の片隅に目を向け、また人知れず暗い心を抱えた友に寄り添い、こうした温かなクリスマスの光を分かち合ってみませんか。 (上毛新聞 2009年12月24日掲載) |