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◎エゴからエコへの転換 1970年前後を「第一の環境の時代」というのに対して、90年前後を「第二の環境の時代」ということがある(沼田眞著『自然保護という思想』)。 約10年ごとに環境時代の“波”が訪れているとも考えられるが、「第一」「第二」という時代を考えると、2010年前後である“今”が、まさに「第三の環境の時代」と言えるのかもしれない。 第一の環境の時代、日本では、水俣病・イタイイタイ病等の公害問題の克服に向けて多大な努力が払われた。環境庁の新設も71年であった。世界的には、72年にローマ・クラブが『成長の限界』を発表し、地球が有限であるという認識が広まり、また同年、環境問題に関する初めての国際会議「国連人間環境会議」が、「かけがえのない地球」を合言葉にストックホルムで開催された。この会議において「人間環境宣言」および「環境国際行動計画」が採択された。 第二の環境の時代、ブルントラント委員会は、『われら共有の未来』の中で「持続可能な開発」を提示し、世界が制度的改革を含めて早急に行動すべきことを訴えた。事実、80年代の終盤には、地球温暖化やオゾン層破壊など、地球的規模の環境変化がますます顕在化していった。そして92年には、国連環境開発会議がリオデジャネイロで開催された。この会議では、「持続可能な開発」をキーワードとして、「リオ宣言」と「アジェンダ21」が合意された。また、「気候変動枠組み条約」や「生物多様性条約」などが採択された。この内容を踏まえて、93年、日本では「環境基本法」が制定された。 その後、97年には京都議定書が採択され(発効は05年)、02年には、南アフリカのヨハネスブルクで「持続可能な開発に関する世界首脳会議」が開催された。 第三の環境の時代。07年のノーベル平和賞を受賞したのは、IPCCとアル・ゴア氏であった。温暖化防止の取り組みに貢献したことが高く評価されたのである。そして現在、08~12年の京都議定書の第一約束期間に突入。日本は、温室効果ガスの「90年比6%減」という目標が割り当てられている。先の気候変動サミットで、鳩山首相は、20年までに「90年比25%減」を表明したが、実現に向けての今後の対策が問われている。08年度は、景気後退の影響で「前年比6%減」だったが、「90年比2%増」で約束は果たされていない。 環境問題の解決に向けては、エゴイズムを脱却し、自他共栄のエコシステム維持への転換が必要である。宣言だけではなく、政府・企業・市民が知恵と技術を駆使し、知行合一で変革をしていく時だ。そして、友愛・地域愛から博愛・地球愛の実践ができれば持続的発展も見えてくるであろう。 (上毛新聞 2009年12月18日掲載) |