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群馬ダイヤモンドペガサス・ゼネラルマネジャー  根岸 誠(高崎市上中居町)  



【略歴】新島学園高、青山学院大経営学部卒。元高崎青年会議所理事長。現在、高崎佐野中PTA会長、高崎市PTA連合会副会長。フジコー代表取締役。


来シーズンに向けて


◎地域密着をより強めて



 11月3日、高知市営球場で、群馬ダイヤモンドペガサス2年目のシーズンが終了した。独立リーグチャンピオンをかけ、四国・九州アイランドリーグの高知ファイティングドッグスと、熱い戦いを繰り広げたが、惜しくもビッグタイトルを手に入れることはできなかった。しかし、勇気を持って王者・四国リーグに挑んだ選手たちにねぎらいの言葉をかけてあげたい。

 今シーズンも、本当に多くの方々に支えられ、野球をさせていただいた。選手の技術レベルが向上し試合時間も短縮された。1試合あたりの四死球やエラー数も減少した。シーズンを通して、常に優勝争いの先頭で戦うことのできるまでにチーム力も向上した。ただし、それだけでは集客増につながらないことを痛感させられた1年でもあった。

 創設2年目のチームは確かに成長した。しかし、今季最後の試合で技術、精神ともに未熟な部分を露呈した。NPB(日本プロ野球機構)への選手輩出もかなわなかった。そして、私たちが最も大切にしなければならないことができなかった。それは、野球事業を通じて、地域との共生による地域活性化である。果たして、地域の文化創造に貢献することができたのだろうか。野球の振興や子どもたちの夢の対象となり得る「地域密着型球団」の達成度はどの程度だっただろうか。この1年間は、ずっとそのことを自問してきた。地元の理解と協力があってこその球団であることを、フロントはもちろん、指導者や選手たちが理解していただろうか。

 野球熱の高さと観戦環境に恵まれた群馬では、野球技術を見るならNPB、野球全体を見るなら社会人、一球・一試合の必死さを見るなら高校野球―と多くの選択肢が存在する。独立リーグの野球は、技術やパフォーマンスを見せるのではなく、学生野球よりも高いレベルで、NPBやMLBへの「夢」に対しての必死さを見せる場所でなくてはならない。独立リーグの選手は、フェアプレー精神でグラウンドに立ち、グラウンド外では、立派な社会人であり優しい野球人でなくてはならない。そして、何かを犠牲にしても野球で上を目指して行かなければならない。コーチもそれを手伝う覚悟で挑まねばならない。

 独立リーグの地位を確保するための一番大きな要素は、やはり集客である。地域の皆さまに、どれだけ選手のひたむきな姿を支え、スタジアムに来て応援していただけるのか。その動機を、どこまで私たちが作れるかが大きな課題である。

 来シーズンに向けてあらためて球団の理念を選手・監督・コーチ・スタッフ全員が共有することを、球団を支えていただいているすべての皆さまにお約束したい。地域に暮らす子どもたちに夢や勇気を与えるために。






(上毛新聞 2009年11月19日掲載)