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◎市民の意識が底力に 芸術の秋。国立西洋美術館では「古代ローマ帝国の遺産展」が開催されるなど、「日本におけるイタリア2009」と題したイベントが日本各地で行われていますが、先日、ローマ市副市長・クトルフォ上院議員が来日、お話を聞く機会がありました。 ローマ市は再活性化のため、第2の観光中心地プロジェクトと題する都市開発計画を進めており、市内4つの行政地区で観光における5項目(国際会議場や見本市関連施設、ヨット・クルーザー関連施設、ゴルフ場、テーマパーク、緑地公園)の拡充を図っているそうです。特に興味をひかれたのは「テーマパーク」。パリに続いて欧州に第2のディズニーランドと思いきや、やはり紀元前からの長い歴史をもつ「ローマ」。その遺産を十分に活いかした、文化的で楽しいものになりそうです。それと、映画にスポットをあてた「チネチッタ・ワールド」です。ムッソリーニ時代に、ローマ市郊外に大規模な映画撮影所が作られ、フェデリコ・フェリー二監督などが活躍するイタリア映画の全盛期もありました。今では映画=ハリウッドというイメージがありますが、「ニュー・シネマ・パラダイス」「イル・ポスティーノ」のようなイタリアの美しい風景をバックに、情感あふれる人間模様を描いた作品の方が好きな私は、この企画に多いに期待しています。 以前、ローマ市内のレストランで日本人が多額の請求をされたというニュースもありましたが、クトルフォ氏も「サービスの質を高めることでイメージを向上し、より多くの人に来てもらいたい」とおっしゃっていました。現在は日本語ウェブサイトを立ち上げ、観光情報案内の電話サービスでも日本語対応を始め、移動式観光案内サービスにも日本語を話す人がいるそうです。これはセグウェイ(電動立ち乗り二輪車)に乗ったツーリストエンジェルという案内人が市内観光スポットや車両の入れないエリアを巡回し、道案内やアドバイスをしてくれるというものです。彼らは目立つように赤いベストを着用、しかもイケメン君や若い女性のようですので、道に迷っても楽しくなりそうです。 来秋にはジャパンウィ―クとして題して、各種のイベントや市内のレストランやショップでさまざまなサービスの予定もあるそうで、活気あるローマ市をアピール。そして市民一人一人が日本からの来訪をお待ちしていることも付け加えられました。この不況下、どの都市、町、村でも、何もしなくても観光客が来てくれる所などありません。それぞれに企画をし、皆が意識をもって活性化に努めていかないとむずかしい時代です。一人一人がこの町を、村を動かしていくのだという意識こそ、大切な底力になると思います。 (上毛新聞 2009年10月26日掲載) |