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体験型古民家民宿かじか倶楽部店主   米田 優(南牧村大日向)  




【略歴】北海道出身。日本大中退。千葉県内の私鉄に勤務、労働運動に携わる。国会議員公設秘書を経て、2006年に南牧村で手打ちそば店、07年に体験型古民家民宿を開業。



素晴らしい出会い



◎西上州活性化の基礎に




 少子高齢化率日本一の南牧村と出会って20年、居を移して4年目を迎えた。この3年間「村おこし」の一助になればという思いから、手打ちそば屋、体験型民宿を開店し、交流人口の増加を目指してきた。一歩ずつではあるがその成果も見え始めた。東京、神奈川、千葉、埼玉など首都圏から多くの人たちが来てくれる。一度来てくれれば「南牧の自然」に感動し、リピーターになってくれる。この出会いが何よりうれしい。

 中高年、若い家族、若者たち、自然を愛する気持ちはすべての年代層にわたっている。そして歴史や伝統文化に触れ、地元の安心で安全な食材に舌鼓を打ち、テレビもなく川のせせらぎの音だけの世界に、誰もが来て良かったと言ってくれる。これらのすべてが新しい出会いである。そして出会いの素晴らしさをしみじみと感じさせてくれる。

 そんな日々の中で、最も感動的なのが大谷映芳氏との出会いである。大谷氏は、元ニュースステーションディレクターで、当時の久米宏キャスターと共に番組に出演していた。登山家としても有名で、K2、マッキンリーなど世界のほとんどの名峰の登頂に成功している。故植村直己氏がマッキンリーで遭難した時、ベースキャンプまで同行し、最後に植村氏を見送った男としても有名である。現在はテレビ朝日をリタイアし、NPO法人Earth Works Society(アースワークスソサエティ)の理事長として国内外を飛び回っている。とりわけ、ニュースステーション時代に、自ら足を運び取材した特別番組「世界の辺境地」の中で、ブータンやネパール・ドルポ地域との親交が厚く、ドルポに対しては、学校建設や医療機器などの支援活動を続けている。その大谷氏が、西上州を国内での活動拠点とすることを決め、群馬支部を南牧村に開設した。私もその一員として支部の事務局長を務めることになった。これを契機に、西上州の活性化活動の一翼として、自然体験や講演会、イベント開催等の活動を展開していく予定だ。

 その第一弾が、ネパール・ドルポの天才画家、テンジン・ヌルブ氏の絵画展の開催である。東京、札幌、大阪、名古屋の大都市とともに、群馬県では南牧村で開催することにした。それは、南牧・上野・下仁田の風景が、ネパール・ヒマラヤに似ているというのが理由の一つである。何とか「テンジン・ヌルブ絵画展」を成功させ、西上州活性化の基礎作りをしたい、そんな思いがつのるばかりである。

 今後もさまざまな活動を通じて、出会いを大切にし、自然との共生を訴えながら、究極の目的である「自然学校」の開設に向けて、残りの人生をささげたいものだ。





(上毛新聞 2009年10月14日掲載)