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◎「動物虐待」は「犯罪」 動物との適切な暮らし方を考える時、見落としがちなことがある。それは、「虐待」は法律で「犯罪」だと決められている点だ。「動物の愛護及び管理に関する法律」第44条2項にこうある。「愛護動物に対し、みだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる等の虐待を行った者は、50万円以下の罰金に処する」 ごはんもお水もやらず衰弱させれば、「不適切な飼い方」を通り越して、「虐待」という犯罪なのだ。第7条にはこんな規定がある。「動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者としての責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼育し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若(も)しくは財産に害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない」 ここで大切なのは「種類、習性等に応じて」「健康及び安全を保持」すること。「人に迷惑を及ぼすことのないよう」飼育すること。これが守られない場合「不適切な飼い方」になる。具体的には7条4項に「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」が定められている。 この「基準」に反する飼い方があれば、飼い主への呼びかけが必要。ただ、その前に「どうしてそんな飼い方になったか」「どんな飼い主なのか」と近所の人に尋ねるのがいい。飼うのに飽きた末の放置か、飼い主が病気で世話したくてもできないのか。さまざまな事情が予想されるから。 世話したくてもできない人には、「かわいいワンちゃんですね」の一声で、犬を褒められた喜びから、世話してやれないことを申し訳なく思う旨を伝えてくる。そんな時は相談にのったり、世話を手伝ってあげてはどうだろうか。故意に放置している人は、犬を隠そうとしたり、気まずそうにすることがある。 飼い主に呼びかける方法はいくつかある。「飼い主に手紙を書く」「町内会や自治会に相談して、飼い主に呼びかけてもらう」「最寄りの保健所に相談して、指導してもらう」などだ。現実には、飼い主の性格や地域性に合わせて対処することが大切だ。 近所づきあいが減り、隣の人でもどんな人か分からないのが今の世の中。働きかける際には慎重に。飼い主が怒って「じゃあ、保健所に引き取ってもらう」などと言い出すこともある。そうなったら、一番の被害者は動物なので、代わりに飼ってくれる人を見つけておいてから働きかけるのが、かなり有効な方法だと思う。 (上毛新聞 2009年10月6日掲載) |