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群馬パース大教授   栗田 昌裕(東京都文京区)  




【略歴】愛知県出身。東京大医学部卒、同大大学院修士課程修了。内科医師。医学博士、薬学博士。栗田式能力開発法を提唱。渡り蝶「アサギマダラ」の研究家。



はつらつと過ごすには



◎6領域で元気度高めて



 日々を元気に過ごすには、体と精神の両方について活発な状態を維持することが大事です。そのためには心身の総合的な元気さを高めることが大事です。

 そこで心身の6つの領域に注目し、そのすべてを高めることを提案します。それらは運動系、自律系、感情系、心象系、言語系、潜在系と呼びます。

 運動系とは関節や筋肉運動の働き、自律系とは内臓とそれを動かす自律神経系の働き、感情系とは感情や情緒の働き、心象系は感覚の働きとイメージを描く働きを示します。言語系は会話や言葉を用いて考えたりする働きを示します。潜在系は以上の5つでは分類しきれない働きを総称し、無意識の精神活動や代謝の働きも含めます。

 この6領域を左手の指と手のひらで記憶しましょう。親指が言語系、人さし指が心象系、中指が感情系、薬指が自律系、小指が運動系、手のひらが潜在系とします。このように対応づけると、心身の全体を丸ごと見る目が養われます。すると健康で元気な状態をバランスよく総合的にとらえられるようになります。

 次に、元気さの度合いを自覚するために、6領域に「絶好調なら10、絶不調なら0」という基準で点数を与えましょう。たとえば、肩こり腰痛があれば運動系は低く、内臓の不調があれば自律系を低くします。6つの点数の合計を元気度と呼びます。その合計を以下の基準で評価してください。10点未満はかなり不調(天気でいうと嵐)。10点代は不調(雨)。20点台はやや不調(曇り)。30点代は正常範囲(普通の人)。40点代は好調(輝いている人、晴れ)。50点以上は非常に好調(飛んでいる人、快晴)。

 栗田式の能力開発法では各領域を高める訓練を実践しますが、よい状態を知り、それに近づくセンスを養うために、「清澄爽快明敏楽(せいちょうそうかいめいびんらく)」という言葉も覚えてください。この言葉は各領域をどう維持するかという目標を示します。言語系は清らかで、潜在系は澄み、運動系は爽(さわ)やかで、自律系は快く、心象系は明るいイメージが描け、感覚系(心象系の一部を特別に分けます)は敏感で、感情系は楽しい状態が目標です。

 以上のよい状態が実現するように、明確にイメージすることを繰り返してください。まず知性が「清」である状態をイメージしてみましょう。知性が濁りがなく、作業が速やかにはかどり、判断が的確に下せる状態を、「清」のイメージ(たとえば清流)と併せて考えるのです。他の状態も同様に念じてください。日常の折々にこのような作業を実行すると、元気ではつらつとした状態で過ごせるでしょう。






(上毛新聞 2009年9月17日掲載)