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◎民間レベルの文化交流を 「クロアチア」という国をご存じですか? 東方見聞録を書いたマルコ・ポーロの生誕地、シャープペンシルと万年筆を発明したヴォリュブ・ペンカラの故郷(ペンという名称は彼の名前に由来しています)。最近、話題になったのは、世界陸上ベルリン大会において女子走り高跳びで金メダルをとった足の長ーい美人ハイジャンパー、ブランカ・ブラシッチ。彼女がクロアチアの選手です。ウイニング・ランで手にしたのが、赤・白・青の横よこ縞じまに赤と白の格子模様の国章の入った国旗。地理的にはイタリアとアドリア海を挟んで対岸に位置しているこの国は、今でこそ平和そのものですが、つい20年前にはユーゴスラビアからの分離独立と隣国間との民族対立などを原因とする紛争の舞台となり、多くの悲惨なニュースが日本にも伝えられました。 ユネスコ世界遺産に登録されていた「ドブロブニク」という街は、内戦の被害を受け、危機遺産にリストアップされたほどですが、1998年にそのリストから除外され、今では「アドリア海の真珠」と呼ばれるにふさわしい美しい街によみがえっています。日本とクロアチア間を結ぶ直行便の就航はないものの、最近ではツアーのコースにも取り上げられるようになり、日本人観光客も増えているようです。 そのクロアチアで日本人によるフラワーデモンストレーションが去る6月25日の「国家の日」に首都ザグレブで行われました。テレビのモーニングショーにも取り上げられ、会場の工芸博物館では100人ものクロアチアの人々が集まってくださり、コップなど身近なものを花器として、枝や蔓つるを支えに、花をさしていく、という方法で実践教室が開かれました。参加された老若男女の皆さんには、和気あいあい、本当に楽しそうに生け花タイムを楽しんでいただきました。レセプションには在クロアチア日本大使にもご列席いただき、大先生が日本大展覧会を開くという大規模なイベントでなくとも、こうした民間レベルでの文化交流を開くことの大切さを感じました。さらにマンガや柔道でしか知り得ない日本の文化のさまざまな面をもっともっと多くの国の人々に知ってもらうことの必要性を痛感しました。 上毛新聞・シャトル紙でイタリアの世界遺産シリーズを書かせていただいことをきっかけに、読者よりイタリアについてお尋ねいただき、交流のお手伝いをさせていただいたこともあります。現在もヨーロッパを舞台に仕事をさせていただいているので、今までの経験をベースに日本の文化や郷土特有なものを世界に発信し、逆に現地のものを地元に紹介できるよう、これからもさまざまな形でかかわっていけたらと思っています。 (上毛新聞 2009年9月11日掲載) |