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群馬スポーツマネジメント(群馬ダイヤモンドペガサス)取締役副社長
                               広瀬 雅美
(高崎市岩押町)  




【略歴】明治大卒。元高崎青年会議所理事長。今年4月から現職。ヒロパックス専務取締役。高崎間税会常任理事、高崎法人会青年部副部会長、高崎交通警察モニター。



シートベルト着用



◎重要性の再認識を




 群馬県は、自動車免許の保有率が全国トップ(特に女性の保有率が高い)といわれる有数の自動車王国であり、車は一家に一台から、一人一台の時代になり、まさしく生活に必要不可欠なものである。しかし、自動車の運転には常に危険が伴い、誰もがヒヤリとした経験があるはずだ。県内の交通事故発生状況を見てみると、警察や関係団体の努力もあり、件数は減少傾向ではあるが、まだまだ全国的に見ても多い。

 今年も、7月11日から20日まで、「無くす事故 群馬の道から わが身から」というスローガンによる、「夏の県民交通安全運動」が行われた。今回の重点は、(1)高齢者の交通事故防止(2)飲酒運転の根絶(3)すべての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底―であった。私は、交通警察モニターとして、高崎市内でシートベルトの着用調査を行った。

 ご存じの通り、2008年6月の改正道路交通法の施行により、後部座席でのシートベルト着用が運転席・助手席同様に義務化された。同年秋の警察庁による着用状況調査では、全国平均が、運転者95・9%、助手席同乗者89・2%、後部座席同乗者30・8%となっている。今回の私の調査では、それぞれが少しずつ全国平均を下回っていた。朝の通勤時間帯であったが、シートベルトを着用していない人は、男女を問わず、「面倒くさい」「窮屈」などのためとか、あるいは運転に絶対の自信があるのかもしれないが、それは、全くシートベルトの重要性を理解せず、危険以外の何ものでもないと感じられる。

 シートベルトは当然、自分の身を守るものであり、衝突事故の際、身体を固定し、座席外に投げ出され負傷することを防止する。同じ安全装置であるエアバッグは、シートベルトと併用することで効果を示す設計になっているそうである。また、6歳未満の子供が対象であるチャイルドシートの使用も極めて重要である。しかし、その利用率は50%程度になっている。

 昨年の死傷者発生交通事故分析では、シートベルトをしていない運転者の場合の交通事故死亡率(致死率)はシートベルトをしている運転者の場合の約43倍、助手席同乗者でシートベルトをしていない場合は、している場合の約11倍、後部座席同乗者の場合で約3倍になっていたそうだ。

 近年、各自動車メーカーは、環境対策と同様に、さまざまな安全装置の開発に力を入れ、装備してきているが、それで安全性を高めることができるかどうかは、すべて、車に乗る人の意識にかかっている。この記事が、運転中にヒヤリとしたあの瞬間を思い出し、少しでもシートベルト着用の再認識につながればと願ってやまない。






(上毛新聞 2009年8月19日掲載)