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ザスパ草津トレーナー 香城 洋平(前橋市石関町)




【略歴】石川県白山市出身。小学3年から高校時代までサッカーに取り組む。石川県星稜高校サッカー部などのトレーナーを経て、2005年から現職。 鍼灸(しんきゅう)師の資格も持つ。



リスク管理




◎早期復帰のポイント




 トレーナーの重要な仕事の一つとして、負傷した選手を試合に出せる状態にまで仕上げるアスレチックリハビリテーションがあります。

 選手たちを安全に、そして早急に復帰させることがその一番のポイントであり、そのために最も重要なのがリスク管理です。常にこのリスク管理を頭に入れつつ、トレーナーはアスレチックリハビリテーションを行っていきます。

 リスク管理とは、けがの種類やけがの重度によっても変わってきますが、おおまかに言うと、軽い→重い、軟らかい→硬い、近い→遠い、ボールなし→ボールあり、対人なし→対人あり、遅い→速い―といったものがリスク管理となります。

 たとえば、足首のねんざを負っている選手で考えます。足首が痛いのにいきなり重い普通のサッカーボールをキックすることは難しいので、軽いラバーボールから始めます。

 その後ボールを蹴(け)ることができるようになれば、今度はいきなり遠い距離から蹴るのではなく近い距離からキックの練習を始めます。ランニングに関しては、最初は遅いスピードでのランニングから開始し、徐々にスピードを速めていきます。

 サッカーは対敵が必ずあるスポーツですが、アスレチックリハビリテーションではまず、人(相手)がいない状態でリハビリを行い、その後、人を入れて行います。そのほかにも、運動生理学や解剖学を踏まえてさまざまな動作を考えながら進め、最終的にその競技種目特性(ここではサッカー)を踏まえてのリハビリを行い、復帰という形になります。

 私自身も日ごろからさまざまなリスク管理を行っています。前記したことはもちろんのこと、その日の天候とピッチの状態、選手のその日のメンタルなどが挙げられます。

 雨でピッチが滑りやすいときは、けがを負う可能性が高くなるので負荷を落とすなどでリスク管理を行います。

 たとえば、その日に限って選手の精神状態が不安定だった場合は、余計なけがを負う可能性もあるので、メンタルをコントロールしつつ負荷もコントロールします。逆に、精神状態が良く、必要以上のことを行おうとする場合、行き過ぎた負荷にならないようコントロールします。

 このように一つ一つのリハビリにおいて、トレーナーは常にさまざまなことを想定してリスク管理を行っています。これらのリスク管理が選手の早期復帰の最大のポイントといっても過言ではありません。







(上毛新聞 2009年8月15日掲載)