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県二輪車安全運転指導員協議会長 池田 伸也(渋川市中郷)




【略歴】県交通警察モニター連絡協議会会長、子持ライオンズクラブ会長を務めた。現在、渋川交通安全協会副理事長、県自動車整備振興会副会長。06年から現職。



二輪車と健康管理



◎生活の中で工夫を




 人間が生きていくためには体力が必要です。家の中からほとんど出ることなく、ただ何となく生活するにも、体力は必要です。

 二輪車に乗るにはそれなりの体力がなければならないのは当然です。サドルにまたがっていれば自然に走ってくれると思ったら大間違い。自分で操らないととんでもないことになります。

 スポーツでは下半身が大切だといわれますが、二輪車も同じ。またがったら、ひざを内側に締めて腰を浮かせるようにしましょう。すると自然に体重が足にかかります。これが基本姿勢ですから、このスタイルをとり続ける体力が必要なのです。

 中高年になったら体力増強より体力維持でしょう。スポーツジムへ通う人もいるようですが、そこまでする時間のない人はふだんの生活の中で工夫すれば大丈夫です。

 まず階段の昇り降り。今はエレベーター、エスカレーターがあって、ついつい利用したくなりますが、そこを我慢して自分の足で歩くことです。

 心臓病や息切れのする人は無理できませんが、下りる時だけでも歩くといいようです。ひざへの負担は、登る時より下る時の方がかかります。ひざを鍛えるには階段を歩いて下りることをお勧めします。

 動体視力も加齢とともに衰えます。プロ野球選手、中でも打者が引退するのは動体視力が落ちてしまったことが理由のようです。時速150キロのボール、しかも曲がったり、落ちたりしながら来るボールの芯をとらえるのは至難の業でしょう。

 それを難なく打ち返すには動体視力が問題です。体力の衰えもさることながら、この動体視力が良くなければ、現役選手としてファンを満足させる結果は残せないと思います。

 二輪車も同じです。ただ、プロ野球ほど難しいことは必要ありません。それでも、家の中に閉じこもって、ごろごろしながらテレビを長時間見たり、ビールを飲みながら文庫本を読んだりしていてはいけません。

 外へ出ることです。野鳥のことを考えてみてください。自由に飛びまわっています。ところが、心ない人によって捕獲されることがあります。以前鳥獣保護法違反で摘発されたニュースを、新聞で読みました。鳥たちの体の色があせてしまい、羽が弱って飛べなくなっていたことを知りました。

 やはり、動物は動いていないと弱ってしまうものです。人間も同じでしょう。本来は自分の足で歩き、走っていたはずです。それを、エンジンのついた二輪車で走ればずいぶん楽ができるわけです。遠くにも行けるはずです。そのために自分の体力を維持するのは当然のことです。





(上毛新聞 2009年8月3日掲載)