視点 オピニオン21 |
■raijinトップ ■上毛新聞ニュース |
. | |
|
|
◎活気の方向に問題も 先日、上海へ行ってきました。今回はATLM(アジア・トラベル・ラグジュアリー・マーケット)参加とホテル施設見学等が目的でした。私は旅行業界に30年以上いますが、主な舞台がヨーロッパのため、中国に足を踏み入れたのは生まれて初めて。「この仕事をしていて中国訪問は初めてなのですか?」と、現地では随分言われましたが、正直、カルチャーショックを受けて帰ってきました。 昨年は北京でオリンピック、来年は上海で万博。と中国では今や世界規模のイベントがめじろ押し。確かにすごい活気を感じました。空港から市内まで約30キロを7分で結ぶリニアモーターカー、ヨーロッパの高級ブランド店が立ち並ぶ大通り、新宿の摩天楼がいくつも集まっているような高層ビル群。まだまだ建設ラッシュが続いています。 道路には車があふれ、少しでもすき間があれば割り込んでくる運転。ウインカーは何のために付いているの? と思うほど、一瞬のうちに車線変更をして進む車。横断歩道でもどんどん突っ込んできますから、歩行者もウカウカ渡っていられません。滞在中、何度か車とバイク、バイクと人の接触事故を目撃しました。でも多少のことは事故扱いにもせず、何ごともなかったように過ぎていきました。 車が多ければ当然、空気もかなり汚れている様子。黄砂? と思ったほど、よどんだ空。人、車、建物、とにかく、その数の多さ、迫力に圧倒されっぱなしでした。日本では、排ガス規制、エコカー減税等で環境問題にそれなりに取り組んでいますが、日本の何倍もの国土と人口をもつ隣の国も一緒に取り組んでくれないと、その影響は風にのって日本に渡ってくることは確実。特に環境問題は世界が一丸となって取り組まないと本当に地球破壊になる、と確信しました。 習慣も異なります。観光客はあまり行かない食堂では食券を買った後、食べ終わりそうな人の横に立ち、席が空くのを待ちます。食事中の人の横にへばりついて待つなんて悪いなあ、などと思っていたら、いつになっても食事にありつけません。店でもトイレでも、列を作って黙って順番を待つ、というのは日本人の特技ではないかとあらためて感心しました。 たった数日間の滞在でしたが、あのギョーザ問題もデイズニーランドに疑似した遊園地も中国ならあり得るとなんとなく納得してしまうほど迫力があるビッグチャイナ。そのエネルギッシュな力の向かう方向が問題だと思います。 帰国したとたん、東京の真ん中にいてさえ、中国と比べるとぬるま湯につかっているような、そんなのんびりした雰囲気を感じ、このままで良いかどうかは別にして、やっぱり日本は住みやすい国! とあらためて痛感しました。 (上毛新聞 2009年7月27日掲載) |