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◎農業への理解者獲得も 県食品安全局は、毎月19日を「家族でいただきますの日」と定め、食育を推進している。食育とは、05年5月、政府が策定した食育推進基本計画で「生きるための基本的な知識であり、知識の教育、道徳教育、体育教育の基礎となるべきもの」と位置付けられている。食生活の乱れからくるさまざまな問題を解決し、「望ましい食生活を確立することにより社会全体の活力を高めよう」という内容である。 各自治体により食育が推進されているが、県では06年3月に策定した県食育推進計画において、「健全な身体を培うため」「豊かな心を育(はぐく)むため」「社会性を涵養(かんよう)するため」を軸にした15の食育目標を掲げ、「食卓での楽しい団らんを通して食の大切さの理解と心を育む食育」の実践を諸団体・県民に呼びかけている。県の作成した冊子によると、食育という言葉は、「学童を持つ人は体育知育才育もすべて食育にあると認識すべき」と明治の書物に記述されているという。 日本農業法人協会は、命の根源である食の大切さに対する取り組みを、農業者の側からも推進すべく運動展開している。 われわれ農業者の立場からの取り組みは、生産現場の公開、農業体験の受け入れなどさまざまな活動を通じて日本農産物の安全性が強調でき、消費者への信頼が勝ち取れるとともに、体験を通じて自然の恩恵や生産の苦労などの理解が深まるなど教育的な役割を果たしている。 この取り組みは、幼稚園・小中学校、あるいは個々の農場ですでに活動が始まり、農水省の資料によると、全国的には区市町村の69%が支援してくれている。 これらの影響により、食材を身近なところから調達する動きが盛んとなり、たとえば農産物直売所は、全国1万4千カ所につくられ、2億3千万人の方に利用されるまで発展した。当然、食料自給率の向上にも寄与できるし、何よりも日本農業の理解者が獲得できる喜びがあり、地産地消にもつながることから、今後、この取り組みはさらに発展強化されようとしている。 このほか、地域の食材を利用した昔からの料理の見直しなども提唱、機会あるごとに、イベントなどに参加してそれらの普及に努め、その中から消費者の地域社会への愛着と理解の促進を図り、食と農の融和に努めている。 全世界から食材が調達供給されるなか、生産する者、料理する者、食べる者が一体となり、食の大切さを理解し、食を通して豊かな人間性を育むことが、身近にできる食育である。 (上毛新聞 2009年7月19日掲載) |