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◎官民一丸となり推進を 「グリーンツーリズム」とは、都市住民が農家などにホームステイして農作業を体験したり、その地域の歴史や自然に親しむ滞在型余暇活動をいうが、その受け皿として「農家民宿」がある。農林漁業従事者が自分の家を利用して簡単に民宿を開業できる制度で、従来の旅館業法を大幅に規制緩和したもの。「農家レストラン」と並んで農水省が推し進めているグリーンツーリズム政策の一つだ。 南牧村の手つかずの自然や、歴史・伝統文化、そして人情に魅せられ、南牧村での生活をスタートさせた私にとっては、自然体験を中心とした「農家民宿」が村おこしの原動力になると判断した。借り上げた古民家の自力改装と並行して、農家民宿開業手続きを開始した。しかし、その意気込みはあっという間に打ち砕かれてしまった。 農家民宿の開業資格は、農林漁業に従事していることが第一条件だが、規則の中に「それによらない場合は」という1項目があった。農林漁業に従事していないIターン者の私はその項の適用をお願いしたが、県は「従事者に限る」ということである。このため農家民宿をあきらめ、一般の民宿とせざるをえなくなった。グリーンツーリズムを積極的に進めているほかの県では、すでにその門戸は開放されているのだが…。 また、手続きを進める過程で分かったことだが、許認可権を持っている窓口が、その制度を理解していないように思われる実態である。行くたびに「規則書」を引っ張り出し、ただ読み上げるだけで、解釈など複雑な問題になると「調べておきます」「上に確認します」という回答ばかり。何のために農家民宿という制度を作ったのかという基本を把握されていないことが、何より残念な点だった。 農水省が旗を振り、県の担当セクションが「開業支援講座」を開催してまでグリーンツーリズムを促進しようとしているにもかかわらず、許認可権を持っている関連セクションがそれと連動していないとすれば、われわれ民間企業で生きてきた者には理解できない謎である。 過疎化が進み「限界集落」を多く抱えている県にとって、これらの地域活性化こそが重要な課題の一つのはずである。その原動力にもなりうる「農家民宿」の制度について、関連セクションによる横断的な勉強会や会議が必要だろう。 一度疲弊してしまった地域を活性化するには、部分的な対策では焼け石に水である。総合的な活性化プランを実現させるために、セクション間の壁を取り払い、民間の知恵を導入しながら、官民一丸となっての体制が必要なのではないだろうか。 (上毛新聞 2009年6月25日掲載) |