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◎未来に向けた交流を 館林市の県立つつじが岡公園で樹齢800年を超えるつつじが咲き誇り、みずみずしい新緑に覆われた去る4月26日、1500キロ離れた沖縄県名護市民約80人が館林市を訪問し、友好都市の締結を行った。2000年1月と4月に開かれた「全日本花いっぱい大会」の開催地として大会旗リレーを行ったことを機に双方の交流が開始され、約9年の歳月を経て今日の日を迎え、両市の歴史に新たな1ページを記したのである。 故郷名護を離れて50余年の私が今、故郷のように思っている館林市が友好都市になったことに深い感慨を覚える。 名護市を紹介しよう。人口約6万人、海と山に囲まれた風光明美な沖縄本島北部(ヤンバルと呼ばれている)の経済・文化・交通の要所である。全国一早い桜祭りを1月下旬から2月初旬に開催する。紅梅にも似た緋ひ いろ色の桜である。今回、5本の寒緋桜が館林市に植樹された。近い将来、館林の新名所となるに違いない。 また、私の高校生のころの名護湾には、クジラやイルカが大挙して押し寄せ、高校の恩師などは、「これから、おれはクジラを引っ張りに行くから、自習だ」と言って出かけるほど、のどかで活気にあふれた町でもあった。今は埋め立てられ、港の景観は変わったが、それでも毎年、ハーリーと呼ばれる海の祭りが勇壮に繰り広げられる。かつて、サバニ(小さなカヌーのような船)に乗って荒海を乗り越え、東南アジアの国々と交易をした名残を今にとどめる沖縄の伝統的な海の祭典だ。今回ヤンバル船と名づけられたサバニも館林市に寄贈された。8月2日の名護ハーリー祭には、寄贈されたヤンバル船で訓練した館林市民が参加するのだそうだ。今からわくわくしながら当日を待ちわびる一人である。 このハーリー祭に館林市民だけでなく、群馬の多くの方々が訪れてほしいと願う。南国の青々とした美しい海とう海みんちゅ人の勇壮な姿がみなさまを心から歓迎するであろう。 友好都市の締結は、行政と市民レベルで行われるのであろう。しかし、未来をはぐくむ子どもたちこそ、交流の輪の中心になってほしいものだ。文化や生活様式も全く違う柔軟な時期の体験交流は、おそらく大きな刺激となって将来の館林・群馬と名護・沖縄を結ぶ架け橋となろう。また、単にお祭り騒ぎで終わるのでなく、戦争の痛手を今に残す沖縄への思いをも忘れずに、この交流が永遠に長続きすることを望むものである。 (上毛新聞 2009年6月12日掲載) |