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◎「確大律速」で若々しく 読書を加速する努力を通して若々しい知性を保つ秘訣(ひけつ)を述べます。一般に知的な情報処理には「入力↓処理↓出力」という一連の働きがあります。入力とは情報を取り込むこと、処理とはその意味を理解すること、出力とは理解した結果を役立てることです。この3段階がスピーディーで活発な状態になれば若々しい知性が保てます。 私は栗田式速読法を5万人以上に指導しました。速読の立場では読書は4段階に分けます。「かたつむり読書」は毎分300字程度でゆっくり読む読書で小学生低学年の方式です。「尺取り虫読書」は毎分1000字弱程度で1行ずつ読む読書で、小学校高学年から成人までほとんどの人が行う方式です。「面の速読」は2行以上ずつ、文字の配置を面的にとらえて読むもので、初級速読で目指します。「蝶(ちょう)の速読」はページの広がりを空間的にとらえて読むもので、上級速読の方式です。私の指導下では5日間の初級講習でほぼ全員が10倍速を超えます。過去18年間に518の全クラスで平均10倍の速読を達成しました。 以下、読書を約2倍に加速する方法を述べます。まず文章を一分間普通に読んで字数を数えます。平均は800字程度です。次に「確大律速」という4漢字の暗示を活(い)かした訓練をします。 (1)「確」できちんと見る 「確」はページの上の文字を「もれなくきちんと見る」ことを表します。「とばし読み」をしないことも意味します。容易なことと思われがちですが、2000字レベルに加速するときに一番問題となる重要な点です。 (2)「大」で視野を大きく 普通の人は1回の目の動きで7、8字をとらえます。新聞は1行が約12字なので、上半分下半分の2回で見られます。本は1行が約40字ですから5、6回で読み取れます。普通より多い回数で読み取っている人はそこを改善しましょう。 (3)「律」でリズムを保つ 本を読むときに立ち止まらないで、一定のリズムで読む習慣を身に付けます。1行を5回の目の動きで見るために、指先でテーブルを5回たたくリズムを覚えてください。そのリズム感覚に従って目線を動かして読み取ってください。 (4)「速」でアクセルを踏む 次は加速をします。5回たたくリズムを加速しましょう。速くすると理解できないという不安に負けないで、進む速さに理解が追いつくように念じます。入力の加速が処理の加速を引き出すように前向きに念じて読書するのです。 では、速度を測りながら、「確大律速」のセンスで多読に励みましょう。毎日5%ずつ加速して2週間で最初の2倍速を目指します。この速度で読んで脳に「活」が入ると発想も加速し、若々しさも維持されます。 (上毛新聞 2009年6月8日掲載) |