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◎心を鍛え、磨き成長 現代社会は、核家族化と少子化に加え親の多忙さなどで、小さい時からテレビっ子が多く、親子の会話も少ない。このため、友だち(人)とのかかわりが苦手で、引きこもりや閉じこもりの予備軍のような「一人遊び」を好む、児童生徒が増えつつある。 それだけに、中学校時代は運動部か文化部で、多くの仲間と一緒に頭と体と心に、バランスよく「いい汗」をかき、心技体を鍛え磨くことが、「健やかな成長」への鍵である。 特に、「心の教育」実践の場である部活動は、同学年の友のほかに二学年の先輩と後輩、計五学年とかかわり、その中で「一つの目標」に向かって皆で努力するだけに、チームワークや仲間とのコミュニケーションづくりに最適である。また、基礎基本の反復練習や基礎体力づくりで、頑張り、支え合うことにより、「忍耐力」や「根気強さ」などを培うことができる。 その半面、各種大会やコンクールへの出場で、プレッシャーに負けて日ごろの実力を発揮できず、惨敗の「みじめさ(挫折感)」を味わう可能性が大である。しかし、この嫌なマイナス体験は、数多く味わえば味わうほど、悔しさがバネになり、大きく成長するための「原動力」に変容する可能性がある。 一方、努力して勝利の栄冠を獲得すれば、周囲の皆から称賛され、お金で買うことのできない素晴らしい「喜び」や「感動」を、心の定期貯金として、増やす最大のメリットがある。 以上のように、限られた練習時間や条件の中で、心を筆頭に技術面やメンタル面や体力面を、鍛え磨くだけに、意欲喚起や集中力が確実にアップし、学習成績向上への波及効果も、十分期待できる。 そして、スポーツマンシップによる「ルール」の順守は、成長過程でのさまざまな誘惑に、自ら心のブレーキとアクセルを、適切に踏み分ける判断力や決断力の育成になり、「健全育成」の上からも最高である。 ところで、スポーツの世界の心技体は、「心」がトップである。 学校体育の部活動も、全く同様で、礼儀マナーを筆頭に、スポーツができることへの「感謝」の気持ちを持たせるなど、「心」を鍛え、磨くことが最も重要である。 「第三十回世界卓球選手権」の男子単で優勝した伊藤繁雄選手は家庭の事情で、高校卒業後二年間、実社会で働いて学費を稼ぎ、苦労して大学に進学し、見事世界の頂点に立った努力家である。 その伊藤選手の言葉に、「心できずして何もできず」と「すべては心から始まる」の二つがある。この名言こそ、「人づくり」の原点であり、すべてに優先することを示した最高のメッセージ(指針)である。 (上毛新聞 2009年3月28日掲載) |