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◎学校を地域再生の核に 「自由に木の上に基地を作ったり穴を掘ったり、ここはホント天国だよ」と五年生の男の子。またほかの三年生の男の子は「おっちゃんはいいな、遊んで暮らしているんだから」と気軽に私に話しかけてきます。 あそびの学校が、二年前から藤岡中心市街地の古民家に開設している駄菓子屋付きのあそび場「ALWAYSあそびの学校」での一こまです。 この施設、「いまこそこんな居場所が必要です」を看板に、古民家の雰囲気に合わせ高齢者も交流できるようにと地域の再生を視野に入れて、あの映画「ALWAYS三丁目の夕日」をもじって開設したものです。 子どもにとって地域とは、学校や家庭から学んだ価値観や生活の知恵を選び取ったり醸成させたり、新たに発見したりつくり出したりする空間、時間です。子どもが育つ上でそのような体験をしっかりくぐる必要があります。しかし、この居場所で子どもと遊んでいて、常に私の頭をよぎるのは、果たしてこのような活動は今後生き残れるのかという問題です。学校の肥大化や地域の商店街の空洞化、市町村合併に伴う過疎化、少子化など子どもを取り巻く地域共同体の破壊がどんどん進んでいる現状がそれです。 本来、子どもの成長発達を保障する生活内容は、(1)睡眠や休息、食事・排せつ等の生理的活動(2)余暇(3)遊び(4)学習(5)仕事―によって成り立っています。しかし今日の子どもの状況は、この間の、新学習指導要領によって授業時間が増えるなど、学校での学習(拘束)時間がますます長くなる方向です。そのうえ、放課後の事件の多発もあって、地域での余暇、遊びも危機と言える状況になっています。 このように「地域での育ち」の基盤が急速に衰える現状からして、あそびの学校の行ってきた「地域の再生をめざし居場所をつくる活動」は今後も重要ですが、「学校」自体も変わる必要があるのではないでしょうか。 そこで、簡単にはいかないとは思いますが、例えば空き教室等を活用して親子や若者、高齢者などが集まる場や子どもたちと触れ合える場をつくるなど、地域の力を学校に取り入れる工夫をしてほしいことです。昔、学校が地域の中心となっていたように、積極的に地域活性化の核となるような取り組みがそれです。 そのような取り組みと私たちのような地域に根差した活動が連携することによって、地域の新たな再生が少しずつ図られることになるのではないかと思っています。 (上毛新聞 2009年3月3日掲載) |