視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
ザスパ草津トレーナー  香城 洋平(前橋市石関町)



【略歴】 石川県白山市出身。小学3年から高校時代までサッカーに取り組む。石川県星稜高校サッカー部などのトレーナーを経て、2005年から現職。鍼灸(しんきゅう)師の資格も持つ。



大ブレーク



◎努力は裏切らない




 私は何でも努力すればその努力は自分を裏切らないと考えています。

 ザスパ草津はJリーグ昇格以来、最も良い成績で二〇〇八シーズンを終えました。ただ、このシーズンが最高の成績と言っているのではありません。今後、J1昇格、Jリーグチャンピオンという大きな目標がザスパ草津にはあります。

 過去最高の成績を収めるにあたって、ある一人の選手の活躍がありました。その選手はJリーグ昇格(二〇〇五年)とともにザスパ草津に入団しました。シーズン当初は草津でチャレンジャーチームに所属し、サッカーと仕事の両立を学び、夏場にトップチームに合流。二〇〇六シーズンはJリーグ初ゴールを挙げるも、なかなか自分の実力を発揮することができず不本意なシーズンとなり、二〇〇七シーズンはけがのためほとんどをリハビリに費やしました。

 しかし、二〇〇八シーズンはそれまでの彼の成績がうそのように結果を出しました。四十二試合中四十一試合出場、十二得点です。この厳しいJ2リーグで二けた得点をたたき出すのは至難のことです。

 彼がなぜ大ブレークしたのでしょうか。プロ選手ですから、もともと能力があるのは当たり前です。それに加えて、彼には物ごとを常にひたむきに行い、目標に向かって常に努力するという性格がありました。そして、監督、コーチ、トレーナー、他選手からのアドバイスには必ず耳を傾ける、そういった能力も兼ね備えた選手でした。

 二〇〇七シーズン、彼は高校時代から負っていたけがの治療のためシーズンの大半を使ってリハビリに励みました。リハビリに取り組む姿勢といえば察しがつくと思われますが素晴らしいものでした。けがの原因をつくった自分の姿勢の矯正を常に求め、同時にけがを負った部分外の個所の補強も常に心がける。けがをポジティブにとらえ、これを機にさらにレベルアップした自分をつくろうという思いが、トレーナーの私にもひしひしと伝わってきました。

 二〇〇八シーズン、けがも癒え、身体のコンディションも最高潮に達した彼が活躍しない理由は何もありませんでした。目標を掲げ、それに向かい、ひたむきに取り組む、そうすればその努力は報われる。このことはプロ選手のみならず、生きているすべての人間に当てはまることではないでしょうか。私はそんな彼のひたむきな取り組みから、あらためて努力は自分を裏切らないことを確認できました。





(上毛新聞 2009年2月28日掲載)