視点 オピニオン21 |
■raijinトップ ■上毛新聞ニュース |
|
|
◎川場村を田園理想郷に 凜(りん)とした「健康によい」“もと”がここにはある。群馬県の北部に位置する「川場村」である。村は今、田園理想郷を目標とする村づくりに行政と共に村民一人一人が取り組んでいる。「村があなたのために何をしてくれるかを問うのではなく、自分が村のために何ができるかを問う」のである。アメリカの第三十五代ケネディ大統領の就任演説を思い出す。 川場村は「水がおいしい」。尾瀬連峰武尊山に降る雨や雪が長い歳月をへて天然水となって村にわき出る名水がある。「澄んだ空気」もある。村の約80%が山林で、山すそを駆けおりる風はまるで森林浴をしているようだ。農産物の品質もよく、温泉もある。そして、豊かな自然環境の田園風景が素晴らしく安らぎを与えてくれる。 この川場村に、東京の世田谷区から区民の健康村がやってきた。相互協力協定を結んで今年で二十八年になる。全国五十二カ所の候補地から川場村が選ばれたという。都市と農山村の交流は、新しい文化を築いて信頼と友情を重ね、高い評価を受けている。 一九八五年、川場村では「村づくり」第一次総合計画が策定された。地場産業の開発、経済基盤の拡充、地域の活性化を図るなどの活力ある村づくりが進められた。そのころ、川場村と私の出合いがあり、川場村アイデンティティーのデザインを制作することになった。シンボルマーク、ロゴタイプをはじめ、ショッピングバッグなどが今も使用されている。 その後、川場村に「田園プラザ川場」が誕生し、村の特産品を一堂に集めた総合複合施設が建設された。プラザ内に有した四つの製造工場、地場産のマーケット、物産館、体験工房などがある。「田園プラザ川場」は家族連れで楽しめるのが好評で、関東の好きな「道の駅」ランキングで四年連続一位である。そして、ここは村の情報発信基地にもなっている。 川場村は平成の大合併が進行する中、自主自立の道を選択した。住民自治の確立により、自立する川場村の形成を目指し、第三次総合計画が村民参加のもとに作られた。その中に、村民が「住んで良かったと満足できる村」、「人づくりは、村づくりの基本である」とあり、私は共感を覚えた。「自分たちの村は自分たちでつくる」の成果なのか、昨年は村民の受賞や表彰が各方面で相次いだ。川場産コシヒカリの「雪ほたか」は全国コンクールで金賞と特別優秀賞を受賞し、教育面では文部科学大臣表彰などがあった。 さて、これからは具体的にテーマを絞り込み、宝である資源を十分に生かし、付加価値をプラスして、「川場村ならではの魅力づくり」のさらなる進展を期待したい。楽しみである。 (上毛新聞 2009年2月21日掲載) |