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日本愛妻家協会事務局長  山名 清隆(神奈川県川崎市)



【略歴】静岡県出身。広報企画会社「スコップ」代表。褒める気持ちで首都高の事故を減らす計画や、嬬恋村でイベント“キャベチュー”を行う日本愛妻家協会などを企画。



地域づくり総務大臣表彰



◎“笑顔で活動”が評価



 昨年末、予想もしないうれしい出来事がありました。日本愛妻家協会の活動が「地域づくり総務大臣表彰」をいただきました。びっくり感激です。二十六回を数える由緒ある賞らしく虎ノ門のホテルでのにぎにぎしい表彰式に出席してきました。生まれて初めて赤いリボンを胸に付けられたり、総務大臣と記念撮影したり、全国から集まった受賞者の方々と話したり、照れくさかったけれど心から喜びを分かち合える時間でした。

 式典で受賞団体名が順番に呼ばれるのですが、司会者が「日本愛妻家協会どの」と言った瞬間に会場がどっと沸いたのはなかなかでした。評価のポイントは「ユニークな発想と工夫を凝らしたPR。何よりも楽しく笑顔で活動しているのは、これからの日本の地域づくりには不可欠」とのこと。楽しくやっていることが評価されたのはうれしいですね。こうやって「キャベチュー」や「愛妻の丘」が人の心の中に生き続ける新しいタイプの文化資産になっていたらすばらしいなあと思いました。

 そもそも僕と嬬恋村を結び付けてくれたのはキャンドルアーティストの小泉純司さんでした。嬬恋村は何もないがすてきな何かがあると教えてくれたのは小泉さんでした。一番苦しかった先妻との別れの時期をただ黙って支えてくれたのは小泉さんと嬬恋村の自然でした。心が折れたとき、あのやさしさに触れていなければ僕は立ち直れていないですね。

 愛妻家協会が嬬恋村の中に受け入れられていくきっかけを作ってくれたのは橋詰元良さんでした。愛妻家というテーマが村の新たな文化や観光資源になると信じ、誰よりも先に動いて流れを作り出そうとしたのは橋詰さんでした。彼の情熱や好奇心やふるさとを思う気持ちがたくさんの人をひきつけました。僕が彼をヤルゾビッチ橋詰と呼び始めたらマスコミの人はみんなそう呼び始めました。

 いまヤルゾビッチの意志を継いで嬬恋村役場で愛妻家プロジェクトを担当しているのがイワン久保こと久保宗之さんです。トルストイの小説に出てくる若くて正直な働き者からイメージ。彼の奮闘が今の愛妻家協会を支えていると言っても過言ではありません。愛妻家協会の名刺があるのですが「イワン久保」と堂々とニックネームを名乗っているのは彼だけです。

 大臣表彰という栄誉は、そうした嬬恋村の未来に可能性を感じて具体的に動くことを惜しまない人たちの上に輝いています。そういう人と出会わなければひらめくことも大胆さと勇気を発揮することもできなかったと感じます。あらためていま、これまで出会った人たちに感謝し、これから出会うであろう動く人たちに感謝いたします。






(上毛新聞 2009年2月7日掲載)