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◎チャンス生かし反転へ はや二月を迎えたが、今年も正月には六百枚以上の年賀状をいただいた。もっとも私も同じぐらい出しているのでこんなところかなぁと思っている。新年を「ほんとうに厳しい年」ととらえている賀状がほとんどであったが、唯一「当社にとってはどちらかと言えばフォロー」というのがあった。心強い限りである。 そんな中で、二〇〇七年前半までは、米国のサブプライムローン問題が、わが国の金融、経済に与える影響は軽微と聞いていたが、なぜこうなってしまったのか不思議であるというコメントが心に残っていた。 そこで、この辺について調べてみた。原因はいくつかあるようだ。第一に、昔からいわれていることだが、アメリカがくしゃみをすれば日本は風邪をひくという謂(いわ)れがある。かつてほど直接的ではないにしろ、例えば中国を経由してとかグローバル化を考えればこの謂れは生きている。 次に、わが国大手銀行のサブプライム関連金融資産は、欧米の金融機関に比べればわずかであるということがあった。ところが〇七年八月のパリバ・ショックにより顕在化した時点で再調査したところ、やはりというか資産の中に相応の関連商品が含まれていた。さらに、農林中金に代表される系統金融機関や中小金融機関にも幅広く行き渡っていたのである。トリプルAの格付けということで安易に購入していた結果である。安全な証券の中に細切れ状態で組み入れられていたので見分けられなかったことも事実であろうが、一層のリスク管理体制の拡充、強化が望まれる。 また、市場参加者のルール順守、モラルの高揚がなお一層求められる。オバマ大統領の就任演説にもあったように、「自由な」市場にはそれを監視する機関も必須である。 その上、運悪く国内事情もいくつか重なった。例えば、建築基準法の改正による建築確認の遅れ、不良債権の発覚をにらんだだけの金融庁検査、不動産価格の上昇と販売不振、原油に代表される資源価格の高騰、食料品や日用品の価格上昇、円高の急進、中小企業への貸し渋りにつながった信用保証協会保証付き融資の責任共有制度導入、富裕層を中心に貯蓄から投資への推奨推進などが挙げられる。これら以上に大きな国内事情として政治の混迷がある。衆議院の解散が叫ばれている中で、政策より政局に各党が走り回っていたのである。 このように見てくると、わが国の回復も相当の努力と期間を要するであろう。しかし、幸い金融システムの混乱が最小限であることから、企業活力の早期の醸成と政策の円滑な運営がなされれば、資源価格の下落というこのチャンスを生かすことにより反転も早いものと期待する。 (上毛新聞 2009年2月4日掲載) |