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◎ライフスタイル転換を わが国のエネルギー需要は、一九七〇年代までの高度経済成長期には、国内総生産(GDP)よりも高い伸び率で増えていました。しかし、七〇年代の二度にわたる石油危機を契機に産業部門での省エネルギー化が進むとともに、省エネルギー型製品の開発も盛んになり、エネルギー需要をある程度抑制しつつ経済成長を果たすことができました。 しかし、八〇年代後半からは、石油価格の低下に加え、快適さ、利便性を求めるライフスタイル等を背景にエネルギー需要は再び増加に転じています。部門別のエネルギー消費動向を見ると、石油危機以降、産業部門がほぼ横ばいで推移する一方、民生・運輸部門はほぼ倍増しています。その結果、産業・民生・運輸部門のシェアは石油危機当時の四対一対一から二〇〇五年度には二対一対一と変化しています。 私たちに身近な民生部門のエネルギー消費の現状はどうなっているのでしょうか。民生部門は、家庭部門と業務部門から構成されます。家庭部門は、自家用自動車等の運輸関係を除く家庭消費部門のエネルギーを対象とし、業務部門は、企業の管理部門等の事務所・ビル、ホテルや百貨店、サービス業務のエネルギー消費を対象としており、〇六年度のエネルギー消費全体の32%を占めています。 家庭部門のエネルギー消費は、家庭用機器のエネルギー消費効率が大幅に向上したことから、伸び率自体は鈍化しているものの、機器の大型化、多様化、世帯数の増加等社会構造変化の影響を受け、個人消費の伸びとともに堅調な伸びで推移しています。一九七三年度の家庭用エネルギーの消費を100とすると二〇〇六年度には約213・1となっており、第一次石油危機当時に比べて、現在の家庭では二倍以上のエネルギーを消費していることになります。個人消費の伸びがおよそ230ですから、家庭用エネルギー消費イコール個人消費ということになります。 省エネルギー対策は、エネルギー関連の機器の効率化や産業の取り組みだけで達成できるものではなく、経済・社会構造をこれまでの大量消費型から資源節約型に転換する必要があります。特に増大する民生、運輸部門におけるエネルギー需給構造を変えるためには、自動車交通システムの改善や環境負荷の少ない街づくり、物流の効率化、公共交通機関の利用促進、エネルギーを消費しないライフスタイルの形成が必要ではないでしょうか。 折しも二月は省エネルギー月間です。「省エネ貯金はじめよう」を合言葉に、各地で省エネルギー関連のイベントが開催されます。足をお運びいただき、省エネルギー型ライフスタイル転換への一助にされてみたらいかがでしょう。 (上毛新聞 2009年2月1日掲載) |