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◎大不況時代こそ対策を 山の木造校舎の廃校に夫婦で「あそびの学校」を開校し、早八年になろうとしている。 この八年、「木造校舎の廃校に再び子どもの声を響かせたい」「地域に子どもも大人もホッとする居場所をつくりたい」の二つの目標を掲げ、いろいろと活動を行ってきた。 嬉(うれ)しいことに、この間の活動が評価され、昨年十一月、少子化担当大臣賞を授与され、今後の活動にとって大きな励みになっている。 少子化対策という点では実際この八年間に、これまで支援の光が当たらなかった専業主婦の子育て支援施策が施設の開設を含め徐々に充実し、放課後の子どもの生活の場「学童保育クラブ」が各地に増設されるなどいくつかの前進面がある。 しかし、ここにきて子育て支援施策のほかに新たな対策の必要性が浮き彫りになってきた。子育て支援ではなく子育ち支援(子どもを直接対象とした)施策である。 秋以降、米国からの不況の波が大波になっている。いまや日本の大企業が軒並み経営を悪化させ、雇用と生産の調整を始めた。そして、連日報道される「雇用調整」という名の解雇である。特に非正規雇用の解雇者数は、八万五千人に上るといわれ、今年はさらに失業者が増える見込みといわれている。 一、二年前より「貧困」「ワーキングプア」という言葉が聞かれるようになったが、ここにきてこの言葉が一層現実的になってきた。このことは大人だけの問題ではなく、当然、子どもも大きく影響を受けざるを得ない。実際、母子世帯、若い父親を持つ子どもの貧困が急速に増加していることが示されている。 この間、「子ども無保険」が大きな社会問題となった。「保険料未納は自己責任」という名のもとで保険証を取りあげられた家庭の子どもが全国で三万人(群馬で千五百人)もいたということである。しかし、子どもには自己責任はない。もってのほかである。それこそ子どもの医療費は無料にするべきである。子どもは親の子どもであると同時に未来の市民、社会の子どもであるという視点で、いまこそこういう時期に少子化対策とあわせて子どもに直接目を向けた対策が必要と考える。 医療費のほかに「学費が払えず進学をあきらめた」「給食費が払えない」などの子どもを対象にした就学援助、貧弱な児童手当や児童扶養手当の拡充をはじめ医療、教育、福祉など、子ども全般にかかわる予算の増額を求めたい。 (上毛新聞 2009年1月8日掲載) |