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ぐんま子どもセーフネット活動委員会委員長 飯塚 秀伯(高崎市下小鳥町)



【略歴】】大正大大学院修了。2006年、インターネットの有害情報から子供を守る「県子どもセーフネットインストラクター」の第1号に認証された。蓮花院副住職。



子供の携帯電話



◎大人の知らない危険大



 携帯電話を子供に持たせる保護者の理由はさまざまであると思いますが、「安心・安全」のために持たせたいと願う親が多いのではないかと思います。わが子の安全を願う気持ちは親として当然です。私も子供を持つ親として、その願いを否定するつもりはありません。しかし、日本の携帯電話を取り巻く現在の環境では、携帯電話を持たせることによる「安心・安全」よりも、逆に持たせることによって子どもを不安にさせ、危険に近づけてしまう恐れの方が大きいのです。

 携帯電話の特徴は、保護者の頭を通り越して直接他者と情報のやり取りができることです。今までの社会は、家族の者に知られず、家の中で子供が外部とやり取りすることは困難でした。例えば、子供に対する電話があったとしても、保護者が電話を取り次ぎ、不審な者を排除することができました。また、電話を取り次ぐということは友人関係などの把握につながるものでもありました。つまり、子供と外部との間に、保護者が常に存在していたことになります。

 しかし、携帯電話の出現により、保護者の頭を通り越し、子供と他者が簡単に接触できるようになってしまいました。保護者の頭越しに連絡が行き交うため、子供の交友関係がみえなくなってしまったとの声を多く聞きます。また、どのような人間と連絡やメールをしているのかわからない不安が常に付きまとうことにもなりました。このように、携帯電話は従来行われてきた子供に対する保護者のかかわりや接点を極めて希薄にさせ、その結果、危険性までも見逃してしまうことになるのです。

 さらに携帯電話に「インターネット機能」が付くことによって、その危険性は無限大に広がるのです。

 私たちが持つ携帯電話には、当たり前のようにインターネット機能が付いています。大人の持つ携帯電話は言うまでもなく、子供の持つ携帯電話にも当然のように対応し販売されています。子供の携帯電話による被害やトラブルの多くは、このインターネット機能を介して起きています。

 卑猥(ひわい)画像、残酷画像、出会い系、個人情報の流出、不当請求など、子供たちはさまざまな有害情報に触れ、被害に遭っているのです。しかも、その提供される内容は保護者や大人社会の理解をはるかに超えた猛スピードで進化・増殖をつづけ、子供の小さな手のひらの画面の中でいったい何が繰り広げられているのか、大人社会は知るすべもないのが現状です。

 携帯電話は、子供が持つにはあまりにも多くの機能を備えすぎています。持たせるメリットよりもデメリットの方がはるかに大きいと感じます。




(上毛新聞 2008年12月30日掲載)