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東洋大国際地域学部准教授 子島 進(館林市尾曳町)



【略歴】】鹿児島県生まれ。総合研究大学院大修了。博士(文学)。2004年から東洋大国際地域学部教員。同学部の学生たちとフェアトレードの研究と実践に従事している。



フェアトレード



◎新しい形の国際協力



 フェアトレードという言葉をご存じでしょうか? 発展途上国の生産者が作る商品を、彼らの生活が成り立つフェアな価格で購入。それによって、生産者コミュニティーの経済的自立を支援する運動です。独立間もない東ティモールの人々が希望を託すコーヒー、ネパールの女性が丹念に育てたカレーのスパイス、あるいはペルーの先住民がアルパカの毛を紡いで作るセーターなど多様な商品を、国際協力NGOやその関連会社が生産者と共同開発し、地道に市場を開拓してきました。それが今、お買い物を通してできる「新しい形の国際協力」として、日本でも広がりを見せつつあります。

 フェアトレードには、「売り手」としてかかわることもできます。過去四年間、私は所属する東洋大国際地域学部の学生たちと、フェアトレード商品を折に触れ販売してきました。公民館のバザーや学園祭での販売は、「気軽に参加できるボランティア活動」として学生に人気があります。売り上げは一日二、三万円といったところです。夏休みには、毎年二十人前後が参加して、館林市の「つつじの里ショッピングセンター」で大きなイベントを開催しています。こちらは毎回五十万円前後の売り上げとなります。このように大小さまざまな形でおこなってきた販売の売り上げ総計は約二百万円。バングラデシュの農村で手工芸品生産に携わる女性の月収に換算すると、二百七十人分を生み出したことになります。

 今年の夏にはさらにもう一歩進んでフィリピンのスラムを訪れ、そこで暮らすお母さんたちが作るリサイクル・バッグやネックレスを直接買い付けてきました。そしてスラムの生活を紹介するポスターも展示しつつ、学園祭で販売しました。今後は、フィリピンで販売イベントを実施してみたらどうか、私の研究フィールドであるパキスタンの商品を日本に紹介したいなど、アイデアが次々にわいてきます。活動が深化するにつれ、夢もふくらんでいくところがフェアトレードの魅力だといえます。

 このようにフェアトレードには、さまざまな形での参加が可能です。通販でチョコレートを買ってもいいし、一日だけ町のバザーでお店を出してもいい(十月には、新しい試みとして館林市の中学生と一緒に販売をおこないました)。やる気があれば、生産者から直接商品を買い付けたり、一緒に商品そのものを開発してもいいのです。現にいくつかの大学のゼミ活動から、フェアトレードに直接かかわるNGOが誕生しています。Think Globally, Act Locallyを地で行くフェアトレードの楽しさ、そして多少の難しさを、このコラムで紹介していきたいと思います。




(上毛新聞 2008年12月27日掲載)