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◎食育のため全校配置を 二〇〇五年から栄養教諭制度がスタートし、〇八年四月現在、全国に千八百九十七人の栄養教諭が配置されました(配置は四十七都道府県1―95%と差がある)。群馬県では十四人(7%)が、小中学校のほか学校給食センターに配属され活躍しています(栄養教諭のほかは学校栄養職員として配属)。 栄養教諭配置実現までの道のりは険しく、一九六一年に、学校給食現場で働く全国の栄養士が組織を結成し、四十四年間にも及ぶ、制度実現に向けた取り組みを続けてきました。 戦後の学校給食は、児童生徒の体位向上が優先され、栄養補給が最重要課題でした。しかし、戦後の食糧難を脱して、日本が高度成長期に入り、物があふれ始めたこの時期、肥満傾向の児童・生徒が増え始め、肥満を起因とする健康不安が浮上したのです。 この時、学校栄養士は「このままでは日本の将来を担う子どもたちが危ない」という危機感を持ち、児童・生徒の心身の健全な育成のため「食」の重要性を伝えるべく、学校栄養士を専門職として教育の中に位置づけ、食の指導に取り組まなければと意を一つにしました。「一校一名の栄養教諭の配置」をめざし、全国の学校栄養士が立ち上がったのです。 ですが、当時は身分も不安定で、児童・生徒に望ましい食事の指導をする時間は無く、子どもたちの将来をただ危惧(きぐ)するばかりであったと、諸先輩方々が回想しております。 栄養教諭配置実現までの長きにわたる活動を支えたのは、「児童・生徒にしっかりした食習慣を身につけさせ、生涯にわたる健康を培うことが、国民全体を健康にし、日本の発展につながる」と信じた、その熱い思いだけであったと語り継がれています。 全国の学校栄養士が今や、一万有余人となったものの、学校教育計画の中に食育が位置づけられ、栄養教諭として指導に取り組んでいる者は、ごく限られているのが現状です。児童・生徒の「食と健康」にかかわるあらゆる問題点が指摘され、同時に国民の食環境も大きく変わり、健康不安は国民全体に広がり、事態は極めて深刻です。 健康への警鐘が鳴らされている今、学校給食法も改定され、栄養確保重視から、給食を教材として活用する「食教育」へと軌道修正されました。安全な食品を選ぶ能力をはじめ、あらゆる面で健全な食生活が「実践」できる国民を育てることは急務であると強く感じています。 当時の熱き思いを再確認し、一日でも早く全学校に栄養教諭が配置されるよう願いつつ、私ども学校栄養職員は日々研鑚(けんさん)してまいりたいと思います。 (上毛新聞 2008年12月14日掲載) |