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◎ローカルの力が不可欠 去る十月一日、国土交通省の外局として「観光庁」が設置されました。基本目標は、「訪日外国人旅行者数を増やす」「国際会議の開催件数を増やす」「日本人の海外旅行者数を増やす」「日本人の国内観光旅行による一人当たりの宿泊数を増やす」「国内における観光旅行消費額を増やす」の以上五項目です。 すでに訪日観光旅行推進運動として「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を五年前から展開し、初年度は五百三十四万人、昨年度は八百三十六万人と、成果は見えてきているようです。次の目標値は二千万人。しかし、日本と言えば「東京・京都・フジヤマ」的な有名観光地だけに頼っていては、この目標値の達成は難しいのではないでしょうか。「日本へ行ってみよう」という人、あるいは「日本大好き」というリピーターを増やすには、ローカルの「力」が不可欠だと思います。<地方>にこそ、日本ならではの魅力があるはずです。 私はヨーロッパを中心に日本人の旅行手配に携わってきましたが、最近、欧州でよく聞くのが「グルメツアー」です。従来通り、有名レストラン巡りのような内容もありますが、むしろ人気なのは地方の農産物産地へ行って、自分で採って、その場で料理して食べる。農家に泊まってその家のおばあちゃんから伝統的な地方料理を教えてもらう。ワイナリーやチーズ工場見学をして本場ものをテイスティングする―といった内容です。名所旧跡観光旅行ではなく、まさに体験ツアー。 さしずめ日本ですと「そば打ち」や「萱葺(かやぶ)き農家に泊まる」というような内容でしょうか? ビルの中でもそば打ちや日本酒のテイスティングはできますが、本当に求めているのは、本来のあるべき自然の姿で体験することだと思います。 また、最近では外国の小都市からの観光プロモーションも多くなってきているように思います。旅行をプランニングする側としては、人気の都市や本に載っている観光地以外の新しいスポットを常に探し求めていることは事実です。そんな時、そうした活動はとても有効な情報源となります。もちろん小さな町一つがいくらがんばってキャンペーンを繰り広げても限界があります。そこで県や地方でまとまり、統一テーマでグループをつくり、各国にプロモーションしていくのも良い方法だと思います。 せっかくの観光庁設置。ぜひ地方の自然、人間の温かさ、郷土色を大切に、目標達成へ向けて躍進してほしいものです。 (上毛新聞 2008年11月30日掲載) |