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◎深まった心の通い合い あっという間に夏も過ぎ、コスモス街道では、色とりどりの秋桜の花がゆらゆらと咲き乱れています。稲穂が垂れ、一面の秋景色は、昨年の台風などどこ吹く風のごとく、時の流れを感じます。 あれから一年がたちました。先月の夏祭りの「灯とぼし祭り」や「ふるさと祭り」は久々に賑(にぎ)わいを見せました。子供たちにとってふるさとの川の思い出は多く、今年も息子や娘たちの仲間やお客さん、孫たちまでが集まって川遊びを楽しみ、夕方には川のほとりでバーべキューや花火などを楽しみました。 お盆の行事にはふるさとに帰省した方も多く、“おふくろの味”を堪能され、癒やしの時を過ごされたことでしょう。自給自足で採れたて野菜の手料理に囲まれる田舎の暮らしは、食文化や心の通い合いを通じた子育てや教育にはうってつけ。未来ある子供たちのために守っていきたい環境だと思います。 今年もゲリラ豪雨が大きなニュースになっていますが、被害から一年たった南牧村でも川の変貌(へんぼう)や修復工事現場の様子はまだまだ痛々しいほどです。 しかし、災害から学んだものは数多く、群馬大学をはじめさまざまな機関で地域防災に関する研究が活発に行われています。インターネットの県防災ページにも県内の気象関係の情報がアップされ、土砂災害警戒情報などにもリンクされるほどで、情報網は整ってきたように思います。 考えてみれば、これほど世間に「南牧村」が知れ渡ったことはないのではないでしょうか。友人、知人、親せきから心配いただいたことによって、絆(きずな)も深まってきました。災いを転じて福となす。その時の状態や恐怖が教訓となって、その後に生かされます。被害後の結束や防災意識は、家族の絆や村民の心の通い合いを深めてくれ、人間らしさを取り戻させてくれました。 お金はなくてもどうにかなることも味わいました。頑張ろう、みんなで。助け合おう、みんなで。そんな気力をもらったような気がします。自然の威力に相対した経験を、感謝の心にかえて前に進まなくては―。 田舎の景気の悪さは日本中どこも同じです。少子高齢化に歯止めはかからず、格差社会も顕著になっています。だからこそ都会と田舎の共生を訴え続けていきたいと思います。 紅葉の秋近し。農業祭の会場や自然豊かな場所には秋の味覚満載です。どうぞおいでなんし。 (上毛新聞 2008年9月30日掲載) |